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131話 ばったり ページ32

そう。そんな風にして、わたしたちはドアを開け、研究教室から出たんだ。


あぁ、もちろん、わたしは普段着に戻ってだけど。


そして―


…そして、目がぱちり、と合ってしまった。


バッドタイミング。


廊下には、きょとんとした顔の王馬くんがいた。


見られた。


最原くんと、2人で研究教室を出てくる場面を。


いや、見られたっていいじゃない。何がいけないの? とわたしの中の誰かが言う。


確かに、そうかもしれないけど、でも…きまりがわるい。


固まってるわたしたちを見て、王馬くんは言った。


「なに、なんでオレをそんなにじっと見てるの」


「あ、いや…」


最原くんが頭をかいて目をそらす。それじゃ逆効果なのに。


「まぁいいけど。それで、お2人さんはここで何してたのー?」


「あのね、運動してたの。ここ、わたしの研究教室だから」


噓じゃない。もともとの目的はそうだったし。


「あっそう。運動ねー。それって、服を脱いでやるスポーツ?」


「え?」


わたしが聞き返すと、王馬くんはさらに続けた。


「激しくて、時にはゆっくりで。持久力が必要で手や足を使うスポーツ。

 苦しい時もあるけど、オレは終わると疲れて寝ちゃうかな。

 ねぇ、なんのスポーツだと思う? それをしてたのかな?」


「ちょっと、王馬くんは何を考えてるの。僕たちはそんな変なことしてないよ」


最原くんが顔を赤らめながら否定すると、王馬くんは嬉しそうにした。


「あれあれ最原ちゃん。何を考えてるのー? オレが言ったのは水泳だよ。

 水泳を変なことだなんて。色んな人に謝った方が良いんじゃない?」


「そ、それはっ…」


「最原ちゃんは東雲ちゃん関連になるとたまにポンコツ化するよねー。

 まぁその反応だと、中で大したことはしてないのかなー?」


「…それは王馬くんには関係ないだろ」


「にしし。どうだろうねー?」


王馬くんがほほ笑む。裏のある、わるーい顔だ。


わたしはこの2人の空気を変えようと思って、聞いてみた。


「ところで王馬くんは、今まで何をしてたの?」


「オレー? オレはね、またカジノ行ってたよー」


それを聞いて、最原くんは首を傾げた。


「どうして? 欲しいものでもあるの?」


「まーね。でも、前みたいにうまくいかないや」


「王馬くんがそんなに欲しがるものってなんだろう?」


「んー。オレも自分が欲しいかどうか分かんないんだよねー。」


王馬くんはわたしをちらりと見た。

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めっし(プロフ) - 下に同じくです (2022年7月26日 17時) (レス) @page6 id: 7d569bbc99 (このIDを非表示/違反報告)
夢海 - 2022になっても見てますw (2022年7月4日 21時) (レス) @page50 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - おことさん» ありがとうございます! かなり遅くなりました。王馬派さんもいてよかったです! これからもよろしくお願いします。 (2018年12月29日 1時) (レス) id: 41d434a4ee (このIDを非表示/違反報告)
おこと(プロフ) - まだ見てます!応援してます!ちなみに私は王馬派ですw (2018年12月1日 17時) (レス) id: 3db9c5d0dd (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 続編製作決定! そろそろ完結させなくちゃ……。まだ見てくれてる人いるのかな笑 (2018年12月1日 0時) (レス) id: 316ac960fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゅー | 作成日時:2017年12月4日 14時

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