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125話 しるし ページ26

最原くんはわたしが教えた通りに弾を撃った。


「こんな感じ、かな」


外れたけれど、なかなか良い筋だ。


「うん、最初にしては十分だよ」


わたしは親指を突き出した。


最原くんはその様子を見て、わたしに向かって手をこまねいた。どうしたのかな。


「姿勢をもう一度教えてくれる?」


ああ、そんなこと。わたしが正しい姿勢を見せると、背中をなぞる感覚。


「ひゃ!? な、なにっ?」


びっくりして銃を落としてしまった。


「え、いや、背中がぴんとしていたから」


最原くんはきまり悪そうに頭をかいた。


「つい…。やっちゃって」


そう言いながら、また、背中をなぞる。


「ちょっと、終一!?」


「Aも嬉しそうだよね。…それで、正しい姿勢は?」


最原くんに横目で見られ、わたしは説明する。


「これをこう持つとさ、狙いを定めにくいから、こういう時は、右手を回して…」


なるほど、そうなんだ、などと相槌を打ちながら、わたしの背中を触る彼。


「ゃん、もぉ、ちょっと!」


我慢できずに、彼の両手を押さえつける。


「話聞いてよぉ」


わたしが目を合わせてそう言うと、


「聞いてるよ」


とだけ言い、驚くわたしを物ともせず、首にキスをしてきた。


「な、えっ…?」


かぷ、と歯を立てられた気がする。


でも、痛くはない。


わたしは目を丸くしたが、首元に噛み付く最原くんを見て、愛おしく思えた。


それで、彼の髪の毛が目の前にあったので、手を伸ばして撫でてみた。


ふわふわと柔らかい。女の子みたいだ。


急に噛み付くなんて。バンパイアにでもなっちゃったのかな?


ちゅー、と吸われている感覚が続く。


でも、これはこれでいいかも…、なんて思ってたら。


「ん」


声が聞こえ、首に吐息を感じた。


わたしはぴくっと身体を震わせてしまう。


最原くんが顔を上げる。なんだか満足そう。


「えっと…?」


困惑したわたしを見て、さらに嬉しそうにする。


彼は微笑みながら口を開いた。


「Aが僕のものっていうしるし」


さっきまで噛んでいた場所を彼が指差して言う。


自分じゃ見えないから、手持ち鏡を出して、覗き込む。


そこには、彼の言う通り、紅いしるしがあった。


「あ、これって…!?」


最原くんは照れたように笑った。


「なんか、我慢できなくて…」


嬉しさと恥ずかしさにわたしも赤くなる。


「でも、これじゃ外に出れないよ…!」


ど、どうしよう?

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めっし(プロフ) - 下に同じくです (2022年7月26日 17時) (レス) @page6 id: 7d569bbc99 (このIDを非表示/違反報告)
夢海 - 2022になっても見てますw (2022年7月4日 21時) (レス) @page50 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - おことさん» ありがとうございます! かなり遅くなりました。王馬派さんもいてよかったです! これからもよろしくお願いします。 (2018年12月29日 1時) (レス) id: 41d434a4ee (このIDを非表示/違反報告)
おこと(プロフ) - まだ見てます!応援してます!ちなみに私は王馬派ですw (2018年12月1日 17時) (レス) id: 3db9c5d0dd (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 続編製作決定! そろそろ完結させなくちゃ……。まだ見てくれてる人いるのかな笑 (2018年12月1日 0時) (レス) id: 316ac960fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゅー | 作成日時:2017年12月4日 14時

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