【あんスタ】dilemma＿＿【悪女】

act.２７ ページ28

Aside

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ｶﾞﾗｯ



A『…。お早うございます！』



久しぶりの教室は、ガヤガヤとした朝の雰囲気だった。
もしも静かになっちゃったら…という嫌な想像は当たらず、特別私を気にかける様子もない。


何となく安心した気分で突っ立っていると、此方に気づいた薫くんが、私の元にやって来た。




薫「〜……！Aちゃんおっそい！俺、いつ来るかな〜って待ってたんだから！」

A『う、うん！ごめんね、薫くん』




奏汰くんに背中を押されるまで悩んでました〜なんて言えないし、苦笑いして受け流す。


薫「どうせAちゃんのことだから？ま〜た悩んでたんでしょ！」

A『あはは……はは…』


チラッと横目で見透かしたように言われ、目が泳ぐ。


斑「おやおやあ？誰かと思えばAさんじゃないかあ！久しぶりだなあ、ママだぞお☆」

A『あ、斑くん！おはよ〜！』



丁度よく斑くんが話しかけてくれたおかげで、何とか追及されずに済んだ。



斑「Aさんは怪我だけでも大変なのに、学院でも色々起こっているからなあ……」



斑くんの言葉に、忘れかけていた泉のことが思い出された。
私の曇った表情に気づいたのか、斑くんが口を開く。


斑「Aさん、そんなに心配しなくても良いぞお♪何かあったらママが助けてあげよう！」


ニコッと明るく笑うその笑顔に、つられて私まで笑ってしまった。




ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ



A『あ、やっば……』



鳴り始めたチャイムに、慌てて自分の席に向かう。



だけど、慌てたせいか足がもつれて。
教室の後ろで静かにコケてしまった。



A『いった……』



幸い、静かにコケたおかげでみんなに気付かれずに済んだけれど、やっぱ膝が痛い。
(後で絆創膏もらいにいこ…)

少し血が滲んでいる箇所を見ていると。


ｽｯ


コケた場所の前の席の人から、絆創膏が差し出された。

A『あ、ありがとうござ＿＿＿』

泉「……」


バッチリと差し出した本人＿泉と視線が合った。
(ヤバいヤバいここ泉の席の真後ろじゃん)




どちらも無言になってしまってすっごく気まずい。
どうにかこの状況を抜け出そうと口を開く。



A『い、泉、ありがとう！』


(もうちょっと自然に言えないの私ぃぃぃ!!)




泉「別に、俺が勝手にしたことだしぃ？気を付けなよねぇ」

A『うん！』



いつも通りの泉に、私は嬉しさが混じった声色で答えた。

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