広い世界を、俺が。【瀬名泉】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:5,492 hit

4 ページ4

Aside

「...は、」

『10年間、バレエのことしか考えてこなかったんだ。あはは、もう15なのに、彼氏もいないよ。』

バレエを初めて10年、それ以外のことは全部、全部切り捨てた。

私がバレエを習い始めたのは5歳の頃。業界の中では遅い方で、いろんな教室に、入隊を断られた。今からでは遅いと。うちは御断りだと。

そんな時私を快く受け入れてくれたのが、このバレエ教室だった

大丈夫、まだ間に合う、って先生が言ってくれて
また断られると思ってたから、本当に本当に嬉しくて。

だから、ここでバレエを続けるって決めた。

いつか絶対にバレリーナになって、先生に恩返しする
それしか、頭になくて

『...気がついたら、私が持ってるものは、バレエだけになってた』

「...ふぅん」

『おしゃれも、流行りのものも、何も目に入ってこなくて。ただひたすら、バレエに夢中だった。』

–––––だから、女の子らしいことなんて、なにもわからない

今までなんとも思わなかったけど、やっぱり。

男の子は、おしゃれな子の方が好きだよね

『えへへ...引いてもいいよ。この歳にもなってこんな地味な子、つまんないよね笑ごめんね、私...瀬名くんのこと知らなくて。人気モデルさんなんだね!そうだよね...私なんかに、話しかけてくれてありがとう!』

「...」

本当に、今まで。

なんとも思ってこなかったのに。

改めて自分で口にしたら、何故だかすごく恥ずかしくって。

私がやってきたことが、どれだけ恥ずかしいことだったのか、思い知って
10年間が、急に無駄に思えてきて

–––––瀬名くんにも、申し訳なくて。

『...ごめんね、』

彼と、今までの。

–––––青春を無駄にしてしまった自分に、謝った。

***

すごい暗いし瀬名さんと絡みないですけど、だんだん話すようになるのでしばしお待ちください