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『俺と一緒に、どっかに逃げようって言ったらついてきてくれる?』


貴「…ついていけたらどれだけ良いか……」


この間からずっと頭の中を支配している言葉に独り言が飛び出る

……ついていきたいわ

当たり前よ

私だって好きでここにいるわけじゃないし、好きで父親に殴られているわけでもない

望んでここに囲われ続けているわけでもない

こんなところから逃げ出して、父親からも逃げ出して、自由に暮らしたいと、そう思っている

でもそれを実現できないから…悩んでいるわけで

修造くんの言うように一緒に逃げられるならそうしたい

だって、本当はかなり前から限界なんだもの…

でも、逃げてバレたら?

修造くんも巻き込んで、あの人に酷いことをされたら?

そんなの…耐えられないし許せない

やっぱり、あの人がいる限り私はここから出られないんだわ…

………あの人から逃げるなんて夢のまた夢、ね

…あ……お花に水をあげないと

私はいつも通り花に水をあげた

…今日も綺麗に咲いてるわ

………良いわね、花は

苗があって、育てられて蕾をつけて、綺麗に咲いて、枯れる

花の散り様は美しいわ

羨ましい限りね、私も美しく散りたいわ

自由とは言い難い花の一生も、私には羨ましく思える

嗜好品として楽しんでもらえるもの

私は、嗜好品とはまた違う

ストレス発散の道具

ただ、それだけ

…酷い話があったものね

中々悲惨な小説が書けるんじゃないかしら

…と、まあ、自嘲気味に笑いながら項垂れる

やっぱりまだ寒いわね

いつまでもベランダにいたら風邪を引いてしまいそう


貴「けほっ、げほ、げほっ……げほっ…」


…中に入りましょう

そう思って、まだジョウロに残っていた水を下に捨てる


「うおっ⁈つめてっ‼」


庭の方からそんな声が聞こえた

驚いて下を覗き込むとびしょびしょに濡れた修造くんがいた

あ、あらやだ…


貴「し、修造くんっ!ごめんなさい、」

虹「あー、良いって。でも中には入れて欲しい」

貴「今下へ行くわ」


急いで階段を降りて、ドアを開ける

ああ…びしょ濡れじゃない…


貴「ごめんなさい…私、いつも下を見ないから…」

虹「平気だって、Aさん」

貴「ダメよ、風邪を引いてしまうわ。お風呂、沸かすから入ってちょうだい?服も洗うわ」

虹「そこまで、っ、くしゅッ!」

貴「…修造くん、大人しく言うことを聞いてちょうだい」

虹「……おう」

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碧夜叉 - ミリイ(灰崎信者)さん» ありがとうございます!!そう言ってもらえて嬉しいです! (2019年4月5日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - マリイさん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです! (2019年4月5日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 最高過ぎる碧夜叉さんの虹村さん (2019年4月3日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 碧夜叉様の虹村さんカッコイイ 最高//// (2019年4月3日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2019年3月19日 1時

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