09 ページ9
お昼頃に、庭の植物に水をあげようと外へ出たら虹村くんがいた
声をかけると気まずそうに振り返り、私を見る
よく見ると制服に血が付いているし、ケガもしているようだった
家の中へ招き入れて、血のついたYシャツを洗濯する
その間は毛布を被ってもらうことにした
貴「大丈夫?ケガも手当てするわ」
虹「いや、自分で…」
貴「ダメ。自分じゃ限界があるでしょう?」
虹「…じゃあ、頼む」
貴「いい子ね。それじゃあケガした所を出して」
虹「……ん」
腕や足、背中、顔…至る所に傷がある
……痛そう…
切れているところには絆創膏を貼り、腫れているところには湿布を貼った
やんちゃなのは良いけれど、ケガは出来るだけしないようにして欲しいわね
貴「……よし、終わり」
虹「ありがと…」
貴「どういたしまして。それにしても痛そうね」
虹「これくらい、平気だ」
貴「本当?すごいわね」
虹「慣れてるし」
貴「…嫌な慣れねぇ」
虹「歩いてると喧嘩ふっかけられるんだから仕方ないだろ」
貴「そんなに恨みを買っているの?」
虹「まあ…そうなんじゃねぇ?」
貴「大変じゃない…外なんてまともに歩けないわよ、そんなの」
虹「喧嘩ふっかけられても勝つし。それなら良いだろ?」
貴「ああ、それならまだ良いわね。今日は?」
虹「勝った」
貴「良かった。それじゃあご褒美にお菓子をあげる」
私は今日作った分のお菓子を虹村くんに持っていった
今日はアップルパイを焼いたから、それを出した
虹「アップルパイ?」
貴「そう。珍しく上手に焼けたの」
虹「……ん、美味い」
貴「本当?良かったわ」
虹「速水さんって、本当にお菓子作るの上手いよな」
貴「そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとう」
虹「……速水さんさぁ、」
貴「うん?」
虹「一人で寂しくねぇの?」
貴「……そうねぇ、あまり寂しくないわ」
虹「ふーん…」
貴「弟が様子を見に来てくれるし、それに虹村くんも来てくれるから」
虹「…じゃあ、俺が来なくなったら寂しい?」
貴「ああ、それは寂しいかもしれないわね」
虹「……そっか。じゃあずっと来ようかな」
貴「大歓迎よ。私は毎日暇だから、むしろ来てくれた方が良いわ」
虹「ははっ、アンタも物好きだよなぁ。こんな不良みたいなのが良いのかよ」
貴「虹村くんだから良いのよ」
虹「ふうん?」
虹村くんはふっ、と笑って、アップルパイを食べている
なんだか可愛いわね
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時