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虹村視点

それから俺はあの人の家に何度か通った

通った結果、分かったことがいくつかある

あの人は23歳で、生まれつき身体が弱いらしい

コーヒーは飲めなくて、甘いものが好きだから自分でよく作る

あの家に一人暮らし、腹違いの弟は2人いて1人は18歳でもう1人は12歳で来年から帝光に通うらしい

下の弟はたまに様子を見に来てくれるらしく、それが嬉しいと言っていた

…俺が外から見てた時に家の中に入っていった小学生は、多分この人の下の弟だな

通う度にその人は作ったお菓子を出してくれた

それはどれもプロ顔負けの出来で、店でも開けば良いのにと思ってしまう

一度言ってみたことがあるが、「そうなると開いている日の方が少ないわね」とくすくす笑われてしまった

今日も俺は飽きずに花屋敷へ向かう

ただ、運の悪いことに途中で他校の不良に絡まれて路地裏に連れていかれてしまった


「お前、帝光の虹村だろ?」

「調子乗ってるってウワサ、本当みてぇだな」

「この間はウチの仲間が世話になったみたいで…今日はそれのお返しにきたんだけどさ」


…面倒だ

あ〜〜…たしか、この前喧嘩をふっかけられてボコボコにした奴、いたよな

アイツの仲間か

制服も似てるっつーか、同じだし


虹「……負ける方が悪いんだろ?」

「あ゛ァ⁈」

「へ〜〜え?負ける方が悪いって?じゃあ負けたらオメーも人のこと言えねぇよな?」

「負ける方が悪いんだから文句はナシだぜ」

「やるぞてめぇら」

虹「…チッ」


そもそも1人に対して5、6人で来る辺り小物だよな

それからは殴り合いで、何とか勝った

あー、くそ、制服に血がついた

フラフラと路地裏を出て、適当に歩いている

…適当に歩いていたはずなのに、俺の足は勝手に花屋敷へ向かっていたらしい

目の前に速水さんの家がある

………今日は帰るか

踵を返して歩き出そうとしたら、後ろから声をかけられた


貴「虹村くん?」

虹「………速水さん」

貴「どうしたの…って、それ…血?」

虹「あー……その…」

貴「……喧嘩してきたのね」

虹「…うん」

貴「ふふ、そう。うちへいらっしゃい、手当てしてあげるわ」

虹「い、いやでも」

貴「早く洗わないとシミになるわよ、そのYシャツ」

虹「…おう」

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時

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