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虹村視点

それから俺は3年に上がった

でも3年の夏、親父が…もしかしたらそろそろ危ないかもしれないという理由で、主将を赤司に譲った

赤司は受け入れてくれて、今は立派に主将を務めてくれている

3年に上がってから親父の体調が悪くなって、俺は放課後に足を運ぶのがAさんの家から病院になっていた

だから最近会えていない

………会いてぇな…

親父の病院に行く度に、Aさんは大丈夫かなとか、あの人すぐ体調崩すしなとか、また倒れてたりしないかなとか…そんなことを考える

考えれば考えるほど不安になって、とうとう今日、Aさんの家に来てしまった

親父の病院に行った後だから結構遅い時間だけど…大丈夫かな…

でもまだ電気がついてるし、起きてるよな

ピンポン、と久しぶりに押すインターホンに少し緊張した

押してから少しして、中からパタパタと足音が聞こえてくる

そして外を伺うように静かになった後、扉が勢いよく開いた


貴「修造くん⁈」

虹「うおっ」

貴「良かった、もう来てくれないのかと思った!」


Aさんは飛び出してくるなり俺に抱きついた

ぎゅぅうっ、と強く

あ、ま、まじか

めちゃくちゃ良い匂いがする

それに柔らかくて、当たり前だけど女の身体だなと思った

こ、これはどうしたらいい?


貴「………あっ…ご、ごめんなさい…」

虹「…いや」

貴「その…つい、嬉しくて……」


そう言いながらAさんは俺から身体を離した

いつもの余裕はないらしく、顔を赤くしている

うわー…可愛い……

…あれ?


虹「Aさん、身体冷たくねぇ?」

貴「あ…今、ちょっと部屋の窓を開けてたから身体が冷えたのかしらね」

虹「窓開けてたのか?寒いのに…」

貴「…………正確には窓を開けたまま倒れていたわ」

虹「倒れ…⁈だ、大丈夫なのか⁈」

貴「ええ、平気。ただの貧血だし…それに修造くんに会えたから治ったわ」

虹「……すぐそういうこと言う」

貴「あら、本当だもの」


Aさんはもうすっかりいつもの余裕な様子に戻っていた

………もっと余裕のない顔、見たかったのに

残念


貴「寒いから中へどうぞ」

虹「良いのか?」

貴「い、今更…?もちろん入って良いのよ?」

虹「…ありがと」

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時

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