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じくじくと左の手首が痛む
……確か包丁でやったのよね
…薬を飲む前に色々と考え事をしてしまうのは良くないわ
すぐこういうことをするんだもの
…………あ…包帯に血が滲んでる…
結構深かったのかしら…
灰「包帯、変えた方が良さそう?」
貴「あ…いえ、もう少ししたらで良いわ」
灰「そうか」
貴「あの…傷、深かったの?」
灰「あ?あー…まあ浅くはなかった」
貴「そう…」
灰「…そういうのって、血ぃ見て心安らぐわけ?」
貴「…………安らぐかと思ってやったけれど、存在している事実と忌々しい血が流れていることだけ分かって、安らがなかったわ」
灰「ふうん…そういうもんなのか…」
貴「貴方は絶対にしてはダメよ」
灰「当たり前だろ、しねぇよ」
貴「それなら良いわ。あの時…ちょっとおかしくて、貴方に酷いことを言ってしまったわね。ごめんなさい」
灰「それは別に良いけどさ。だって姉ちゃんの方が大変だし」
貴「………いくら大変でも弟に当たるなんて最低だわ」
灰「じゃあさ、許すからその代わりに泊まっても良い?」
貴「…それは別に……構わないけど」
灰「家帰んのめんどくせーし、姉ちゃんが心配だし」
貴「………貴方は優しいわね」
灰「勘違いだろソレ」
貴「そんなこと…ないわよ」
灰「そうかぁ?」
貴「あ…そういえば貴方、学校は?」
灰「学校…は、気が乗らなくて途中で抜けてきた」
貴「あら、じゃあ部活もサボりね。修造くんが怒るわよ」
灰「言うなよ、多分明日…ボコボコにされるんだから…」
貴「修造くんは喧嘩が強いものね」
灰「おっかしいよな、バスケばっかしてるくせに何であんなに強いんだよ」
貴「あら…」
………もしかして祥吾は昔の修造くんのことを知らないのかしら
あ、でもそうよね
修造くんがしっかりした頃から入学したんだもの
教えても良いけど、修造くんに怒られそうだからやめておきましょう
貴「…そうねぇ、何であんなに強いのかしらねぇ」
灰「………姉ちゃんなんか知ってんの?」
貴「いいえ?」
灰「…嘘だろ」
貴「そんなことないわよ」
灰「姉ちゃんが嘘ついてるの分かりやすいんだから無理すんなって」
貴「まあ、貴方はすごいのね。確かに嘘だけど教えてあげない」
灰「はぁ?」
貴「修造くんに怒られるもの」
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時