【黒バス】花屋敷

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虹村視点

それをAさんに言えば、取って欲しいと言われた缶の中からクッキーを少し取って食べて薬を飲み込んだ

………米とかの方が良い気がするけど、本人が良いならこれが一番だろう

座りながらもふらふらと安定しないAさんを見ていると不安になり、嫌じゃないなら看病させてくれと思わず言ってしまった

そうしたらどうだ


「一緒にいて」


そう言われた

言った後のAさんはやってしまったという顔をしていたから、訂正する前に「いる」と返しておいた

その後に頭を冷やすように冷蔵庫から熱が出た時なんかに使う枕を出してAさんの枕の上に乗せる

頭を撫でていたらAさんはいつの間にか眠ってしまっていた

寝顔はいつもよりも幼くて、可愛かった

…ただ、首の痕が気になるけど

父親………か…

もし鉢合わせたら、殴り倒した自信がある

Aさんの何だ、と言われたら答えられないけど、俺の中でAさんは大事な人になってるから

そんな人が、酷いことをされているなんて…

例え実の父親でも殴る

………大丈夫かな、Aさん

額に手を当てると、すごく熱かった

魘されてるし、悪い夢でも見てんのかな

俺は一度Aさんから視線を外して部屋をぐるりと見渡した

本がたくさんある

高校の頃からこのにいるんだったか？

…今までにこれ全部読んだりとかしたのかな

…………どれだけ寂しかったんだろう

寂しくなかったなんて言うのだろうか

でも、この家に閉じ込められて…外に出ないなんて、飽きるし寂しいだろうな

俺なら絶対に無理だし、早いうちに逃げてる

…Aさんは逃げようとか思わなかった…のか？

なんか、この人ならありえそうなんだよな

籠の鳥っつーの？

似合う雰囲気でもあるし

まあ似合ってるから籠の鳥になってるなんてありえないけど

…………いつか連れ出せたらなんて、そんなことを思ってしまう

話したらきっと子供の夢だと思われて流されるんだろうな

Aさんは大人だから

でも、いつか実現させたい

Aさんを連れ出して、どこか…遠くに行って、Aさんに色々見せてあげたい

…いつか………連れてってやるから、まってて欲しい

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