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虹村視点
ピンポン、と一度鳴らして少ししてもAさんは出てこない
もう一度鳴らしても、出てこなかった
…具合悪ぃのかな
2回鳴らしても出てこなかったら会えない、というルールじみたものは自然に決まったものだった
Aさんはいつも元気でいられないから、2回鳴らしても出てこないなら会えないというメッセージ
具合が悪いなら起こしても悪いし、と帰ろうとしたら中から物凄い音が聞こえた
多分階段から何かが落ちた音
それが物なら良い
でも音的に、物よりも重みがあった
……Aさんだったらどうしよう
あの人のことだから打ち所が悪かったら死んだり…それに気絶してたら?
1人なんだから誰も助けられない
…もし違ったら、笑い話で済む
そう思って扉を開けようとすると、すんなり開いた
…は?鍵は?
あ、いや、そんなことより
中を見れば、Aさんは足を引きずりながら家の奥に進もうとしていたところだった
驚かれたからしどろもどろになりながら説明すれば、Aさんはわかってくれたようだった
具合が悪いからと俺を帰そうとしているのは分かったけど1人にしたらダメな気がして無理やり家に上がっていた
きちんと扉を閉めて、鍵も閉めて
Aさんの足が腫れている
頼まれたから肩を貸して、道具を取りに行くのかとついていけば風呂に入ると言われて驚いた
どうしたら良いかと混乱して、とりあえず外に出てると言えば中に入ったら話がしたいからいてくれと言われた
この人に危機感ってものはないのか?
…でも、多分心を許してくれているんだろう
それから話して、Aさんは父親に酷いことをされた後だと知った
話を聞いているだけで酷い様子だったが容易に想像できる
それから風呂から上がったAさんにまた肩を貸して部屋へ戻れば床が土まみれだった
………父親か
掃除機を借りて片付けて、鉢植えもベランダに出した
それからAさんの手当てをする
腕も念のため見てみて正解だった
………この人の肌、白くて柔らかそうだな
…手当てをしないといけないのに何を考えてるんだか
腕と足を手当てしていると、Aさんはどこか一点を見つめていた
ああ、きっと具合が悪いんだな
身体も熱いから熱がある
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時