【黒バス】あの関西弁っ子は、悪童のカノジョです。《花宮真》

【Story1】 ページ3

霧崎第一高等学校。

体育館にて。

キュッ、キュッという床を磨く音が響く中、一人の男が声を発した。

｢Aさん、少しいいですか。｣

その男は、整った顔立ちと、恵まれた体格を持っていた。

｢んー？なんや、はなみゃー。｣


『はなみゃー』と呼ばれた男性に近づく一人の少女。

この少女もまた、周囲から羨まれる容姿と才能を兼ね備えていた。

途端に周囲はざわつき始める。

｢ねぇ、やっぱりあの二人って付き合ってるのかな？｣

ヒソヒソと問いかけたのは、一人のマネージャー。

｢そうじゃない？『はなみゃー』とか付き合ってないと呼べないでしょー｣

どうやら、”あの二人”が付き合っているか付き合っていないかが気になるよう。

｢でもいくら聞いても二人とも『付き合ってない』って言うんだもん｣

｢えー、友達以上恋人未満ってやつー？｣

｢でもお似合いだよね。美男美女カップルだし、二人とも性格イケメンだしね。｣

｢うんうん。｣

『美男美女カップル』。

その名に相応しい、成績優秀、運動神経抜群、性格良し、容姿端麗な彼ら。

付き合っていることを疑われても仕方がない。

しかし、彼らの素顔は………？









｢うちら美男美女カップルて言われてるらしいで。｣

人前では穏やかな笑みしか見せないその少女の、ぷるり、とした小さい口から発せられた言葉。

｢ふはっ、顔だけは良いもんな。｣

彼も同じように決して人前では見せない表情をしていた。

｢あははっ、そうやな。
顔だけは良いもんなぁうちら。
ま、顔以外も完璧やから皆気づかへんのやけれど。｣

少女は嘲り笑う。





そう、彼らの素顔は………

猫被りゲスカップルでした。

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