【おそ松さん】うざい、長男【おそ松】

番外編 ページ19

三月十四日。

その日はホワイトデーでいつものように、とにかく疲れた。


めちゃくちゃ女子から貰ったチョコのお返しであるクッキーを作りまくって、返しまくった。



…その日おそ松は、珍しく私につっかからなかった。


それが、なんとなく寂しかった、なんて言えない。


さっさとくれてやったんだから何か返せやとか言わないから。


…隣にいたはずの喧しくて鬱陶しいおそ松はいなくて、久しぶりに一人で帰っていた。



「っ、おい！」

『！？…お、おそ松？』



どたどた騒がしい足音が聞こえたと思えば、そこには走ってきたのか息が乱れているおそ松の姿がいた。


おそ松は「どうして勝手に帰んだよ」と口を尖らせて文句を言う。



こいつはがりがり頭を掻きあー、とかうーとか言いつつ、いつもの癖である鼻の下を擦りながら、どこか照れ臭そうにずいっと包装されたものを差し出した。



『！』

「きょ、今日ホワイトデーだろ！お前が女子達に一生懸命返してたくせに気づいてないとか言うなよ！？」


い、いやおそ松はそんなガラじゃないだろうが…と、知らない間に口を溢してだろうか。


「俺だって、んなこと知ってるっつーの！」



そう捨て台詞のように言い残し、奴は走って行った。赤くなった耳は、隠しきれてなかったけれど。



明日バレンタインの時みたいにからかってやろうと企みながら、私はニヤニヤと笑った。



ちなみに中身が飴とエ ロ本だったので、とりあえず一発殴った。

…飴はイチゴの味で甘くて美味しかった。
＿＿＿
飴って確か好k……おっと誰か来たようだ

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