26話 ページ27
｢タンダ、チャグムは大丈夫なの？｣
｢フィア、大丈夫だよ。卵が育っているだけだから。｣
フィアはほっと息をつくと、外へ出ていき、しばらく戻らなかった。
夕方になり、フィアは木の幹に座ってボーっとしていると、チャグムの声が聞こえた。
ぴょんっと飛び降りて、〈狩穴〉の方へ走って行くと、チャグムがさけんでいた。
｢くそったれ！なんで、おれなんだ！なんで、こんな目にあわなきゃ、ならないんだ！
死んじまえ、卵なんて！勝手に俺の体に入りやがって！｣
チャグムの声を聞いて、フィアはぴたりととまった。
宙を蹴り、岩壁を蹴り、暴れくるうチャグムをバルサは背後からかかえあげて、くるり、と投げた。
草地に投げ飛ばされたチャグムは、起きあがると、わめきながらバルサに飛びかかった。
飛びかかる、投げられる・・・そんな二人の様子をフィアは木の陰から見ていた。
その日いらい、チャグムはむっつりとふさぎこむことが多くなった。
しじゅういらいらしているらしく、ささいなことに腹をたてては、ぷいっと〈狩穴〉を飛び出し、そのまま夜まで、戻らないこともあった。
フィアは雪がとけてきたので、針と糸を持ち出し、木の幹に座って縫い物をするようになった。
チャグムはいらいらしていて、石ころを蹴る。
｢チャグムやめてよ。いらつくのはわかるけど、わざわざ人に見せつける必要はないでしょうよ。」
｢フィアに母上と別れて、勝手にニュンガ・ロ・チャガ〈精霊の守り人〉にされた
俺の気持ちなんて分かるわけない！｣
これには、フィアもかちんときたようだ。
｢分かるわけないでしょ、私はチャグムじゃないんだし。」
「ほっといてくれ。」
「あっそう。でも、自分一人だけが辛いだなんて思わないことね。
世界はチャグム中心に回ってるわけじゃないんだから。｣
フィアは冷たく言い捨てると、物をまとめて森の奥まで、走って行ってしまった。
チャグムとフィアははじめてけんかをした。
チャグムは明日にでもなれば、仲直りできるだろうと思っていたが、
フィアは一切チャグムとは口をきかなくなり、
フィアも朝早くからどこかへ行き、夜遅くまで戻らないようになった。
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サヤノ - 清少ナゴンさん» 初めまして、サヤノと申します、精霊の守り人シリーズが大好きです、故あって愛読しております、タンダ特製山菜鍋も美味しいくらい想像が膨らみます、よろしくお願いします。 (9月29日 11時) (
レス) id: 8a917fb5a5 (このIDを非表示/違反報告)
真顔君 - 頑張って下さい！ (2018年8月6日 15時) (レス) id: 121ee4e48d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゴンナゴン | 作成日時：2017年12月19日 19時
