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ページ19

二人で家を出たはずが、帰ってきた時は四人だった。
ただいまと言うと、奥から小さな足音が聞こえてくる。それは段々と大きくなり、姿を現した。

「!!!」

「………」

「ただいま帰りました。鈴、太次郎」

最後の変わったこと。
それは、この家に住む座敷童子が増えたことだ。
相変わらず声は聞こえないが、少し賑やかになったような気がする。

「?……!!!」

座敷童子の少年は、俺の後ろにいる海坊主を見つけると駆け寄り飛びついた。
海坊主は少年を、その逞しい腕で受け止める。

「…っと、いつも言うが、突然飛びつくのは危ないぞ」

「!!」

「確かに、受け止めはするが…」

「!」

「太次郎は、本当に海坊主が好きじゃのぉ」

「!……〜〜っ…」

顔と耳を赤くする少年。
年相応な反応が、この場を和ませた。

「………」

「ん?」

くいっと袖を引っ張られ、その方を見る。
座敷童子の少女は、俺に何か言いたげだった。

「……、…」

「……もしかして、抱っこ…ですか?」

「!……。」

驚いたような反応をしたあと、ゆっくりと頷いた。俺はその要望通りに少女を抱き上げた。

すると嬉しそうに擦り寄ってくる。
先程の兎ではないが、とても愛らしい。

「理鶯さんと幻太郎ばっかずりぃ〜!!
俺も抱っこさせてくれ!」

ギャンブラーもこの子たちを気に入っているのか、抱っこがしたいと騒ぎ出す。
しかし少年も少女も、首を横に振りそれを拒否した。

「何でだよ!?」

「……あぁ、なるほど」

座敷童子たちから聞いたのか、聞こえたのか……狐は苦笑いをした。

「お前さん、最後に風呂に入ったのは何時じゃ」

「風呂?
うーん……………………一週間前?」

それは座敷童子たちも嫌がる。当然だ。

「だから太次郎は嫌がっていたのか」

「鈴も、そんな人に抱っこされたくないですよね」

「え!?何でだよ!!?」

風呂に入らないことに慣れてしまい感覚が麻痺しているのか、座敷童子が嫌がる意味が分からないらしい。

「帝統、風呂に入っていない貴方は正直に言うと‘臭い’です。そして‘汚い’。
だから鈴も太次郎も嫌がっているんですよ」

「んじゃっ!風呂貸してくれ!」

どこまで図々しいんだ、この男は。
すぐ側にあった靴べらを投げつけてやりたい衝動に駆られたが、それは抱えている少女によって防がれた。

彼女に感謝して欲しい。

「………いま、お湯はってませんがシャワーでいいなら」

「おう!借りるぜ〜!」

靴を適当に脱ぎすて、浴室へと向うギャンブラー。
俺は、我慢できずに大きなため息を吐く。

伍→←参



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ふぃっく - 一番気になるところで終わるのがウズウズします!!!!!!ぜひ続きを書いてください! (2023年4月16日 14時) (レス) @page38 id: 634615dde5 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - ロールロールさん» コメントありがとうございます。最近更新出来ずに申し訳ありません…。近々更新致します。あたたかいお言葉ありがとうございます。 (2020年4月5日 12時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
ロールロール - はじめまして!とても楽しみに更新待ってます!体調管理に気をつけてください!応援してます。頑張ってください。 (2020年4月5日 0時) (レス) id: d8adda4a88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心春 | 作成日時:2020年1月12日 9時

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