１０８歩 ページ31
＿＿＿
「これより、演劇部による【アリス ｉｎ Ｄｒｅａｍｌａｎｄ】。開幕いたします＿＿」
アナウンスの一言で幕が上がる。
僕たちの本気の「演技」、堪能してもらおう。
〜〜
劇は順調に進み、とうとうクライマックスに差し掛かった。
『夢の国、楽しかったよ。でも…私には帰る場所があるの』
夢の国に迷い込んでしまったアリスは考え抜いた結果、元の世界に戻ることを決意した。
「アリス帰っちゃうの？」
「また来てくださいね。私たちはいつまでも待っていますから」
「また、会えるよな？ これでさよならは嫌、だから」
白兎さん、帽子屋さん、チェシャ猫さんはそれぞれ寂しそうに言う。
短い間だけど一緒に過ごした時間はアリスにとっても、彼らにとってもかけがえのないものになったに違いない。
『絶対、また来るね。…私のことをみんなが忘れないように、私が忘れないように、この歌を歌うね』
スポットライトが僕だけに当たる。
ここが最後の見せ場、アリスが最後に歌うを歌って皆に別れを告げる重要なシーン。
失敗してはいけない…。
＿＿その時、案の定ハプニングが起きた。
「あれ、続きは？」
「最後は確かアリスが歌うんだろ？ 曲、流れねぇじゃねえか」
音楽が流れないまま、数分の空白。
予定ではステージに残った僕が１人、ソロ曲を歌うはずだった。
不思議に思ってステージの袖を見ると、日々樹先輩が口パクで事態を伝えてくれた。
「機材トラブルで音が鳴らないようです」
「何とか劇をひと段落させてください」
不思議に思った生徒たちがざわついているなか、僕は１人きりでステージに立ち尽くしている。
アリス役が歌うソロの曲は、有名な作曲家さんが作ってくれたもので大きく宣伝されていた。
アリスはみんなに忘れられたくないんだ。
歌を歌わずに帰ることなんてできない。
それにこれまで頑張ってきたのに、こんなことで無駄になるなんて納得できない。
けっこう大変だったんだから。
せっかくだから、派手にやってやろう。
僕は指定されていた位置から大きく一歩前にでて、息を吸い込んだ。
＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノア(プロフ) - 雪兎さん» はじめまして、ありがとうございます！晃牙くん推しなので、あの可愛さが伝わったら嬉しいです！更新頑張っていきますー！ (2016年8月3日 10時) (
レス) id: f8f287b969 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎 - はじめまして！毎回楽しく読ませてもらってます！106話の晃牙君がとても可愛かったです！これからの、文化祭編もとても楽しみです！これからも、更新頑張ってください！ (2016年8月3日 9時) (レス) id: 83fd0e6026 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 抹茶善哉さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！もっともっと楽しんでいただけるように更新頑張ります！！ (2016年7月27日 22時) (レス) id: f8f287b969 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶善哉(プロフ) - はじめまして！楽しく？読ませてもらってます！(上から目線ゴメンナサイ)話の続きが気になるので更新頑張ってください！(上から目線ゴメンナサイ(二回目)) (2016年7月27日 21時) (レス) id: 8794c6d668 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノア | 作成日時：2016年7月3日 14時
