８９歩 ページ12
＿＿＿
斎宮先輩にお礼を言って、面倒なことになる前に手芸部の部室を出てきた。
途中にあった更衣室で元の制服に着替えて何もなかったように廊下を歩く。
目指すは演劇部。
〜〜
「その様子だと衣装は受け取ったようですねえ？」
『受け取ったのは受け取ったんですけど・・・僕これ着たくないです』
「フッフッフ、照れなくてもいいのですよ？」
『そうじゃなくて、』
部室で待ち構えていた日々樹先輩はすでに衣装を着て、得意げに笑っている。
お洒落な帽子をくるくると回して、アリスに登場する帽子屋、マッドハッタ―の衣装だ。
部室を見渡すと、他の生徒もそれぞれの役柄の衣装を着ているようだ。
キャストも日々樹先輩が決めるんだね。知らなかった。
「天ヶ瀬先輩も衣装貰ったんですか？」
「俺たちも試着しているところだ。Aも着るといい」
『おお・・・２人とも似合うなあ』
更衣室から登場したのは、うさ耳とモノクルを付けた可愛らしい友也くんと、黒と紫を基調とした衣装に猫耳という姿の北斗くんだった。
友也くんは白兎、北斗くんはチェシャ猫だろう。
『いやー、僕さっき着たから・・・』
「そうなのか？」
「僕、天ヶ瀬先輩のアリス見てみたいです！」
キラキラした目で見ている友也くん。
そんな目で僕を見ないでおくれ。可愛くて断れないじゃないか。
「せっかくの主役なんですから。アリスがいないとお茶会が始められないですねえ♪」
『う・・・。次はないからね』
「やったあ！」
どうしよう友也くんが可愛い。
本当に男の子なのかな？ 僕、女としての自身が無くなってきた。
日々樹先輩に手を引かれて案内されたのは誰も使っていない様子の小さな個室。
アリスが女の子の役だからと言って個室を用意してくれるなんて思わなかった。
中身は女子の僕にはありがたい。
「誰も通しませんから、安心して着替えてくださいね」
先輩は満面の笑みで言う。
・・・これって、
『もしかして・・・』
「女性への気遣いは当たり前ですよ。それが男の務めですからねえ♪」
『あ、ありがとう、ございます』
やっぱり。
バレてるパターンでした。
日々樹先輩の気遣いに感謝して綺麗に片付いた個室で、僕は渋々アリスの衣装に再び着替えた。
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ノア(プロフ) - 雪兎さん» はじめまして、ありがとうございます！晃牙くん推しなので、あの可愛さが伝わったら嬉しいです！更新頑張っていきますー！ (2016年8月3日 10時) (
レス) id: f8f287b969 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎 - はじめまして！毎回楽しく読ませてもらってます！106話の晃牙君がとても可愛かったです！これからの、文化祭編もとても楽しみです！これからも、更新頑張ってください！ (2016年8月3日 9時) (レス) id: 83fd0e6026 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 抹茶善哉さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！もっともっと楽しんでいただけるように更新頑張ります！！ (2016年7月27日 22時) (レス) id: f8f287b969 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶善哉(プロフ) - はじめまして！楽しく？読ませてもらってます！(上から目線ゴメンナサイ)話の続きが気になるので更新頑張ってください！(上から目線ゴメンナサイ(二回目)) (2016年7月27日 21時) (レス) id: 8794c6d668 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2016年7月3日 14時
