第弐拾伍話「雨のち晴れに」 ページ34
＊＊
「こんな時まで、雨降るのかァ」
「あの日から雨続きですよ、全く」
「Aはド派手に晴れ女だったわけだ!!」
「素敵ね!!きっとそうだわ！」
傘を差し、黒い隊服に身を包んだ者たちが並ぶ。その視線の先には、愛しい彼女がいる。
「というか、あの手紙はなんだ。普段は、お喋りで煩いくらいなのにたったの四文とは」
「……Aだからな」
「そうだな。実に、彼女らしい」
彼女が生前に残した文を思い出す。彼女らしい、丸く柔らかい文字に綴られた思いは彼らに届いていた。
「アイツ、俺らのこと見つけれんのかな」
「Aちゃんのことだから、全然違う人と俺を間違えそうなんだけど……」
「子分に負けてたまるか!!オレが先に見つけてやる!!」
「そうだな……Aが遅かったら、俺達が迎えに行こう!!」
箱の中で眠る彼女の髪には、いつかの髪飾りが。身体には、大切な羽織が着せられたまま。
箱の隙間を埋めるように、太陽の花が咲き乱れていた。太陽の色に包まれた彼女は、腕を組んで眠る。
「A、綺麗だね」
「今度は、ちゃんと約束守ってもらうからね」
もう、名前を呼ばれることも。話をすることも。愛しいあの笑顔を浮かべてくれることもないけれど。
それでも、愛しい彼女にまた逢える日を願って。
「葵、君の大事な弟子がそちらに逝くからよろしくね」
煙があがり、灰が舞う。
彼女の羽織の切れ端が風に吹かれ、空へと一緒に舞い上がっていく。
「あ、雨が」
「……晴れてきましたね」
《終結》
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白猫さん(プロフ) - 泣きました。泣きました。 (2021年10月10日 20時) (
レス) @page39 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - あと、今更なんですが、1話の「宇隨」ではなく宇髄だと思います！ (2020年9月27日 14時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！お話面白かったです！更新頑張ってください！ (2020年9月27日 14時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - mustardさん» コメントありがとうございます。最後の話は私自身、悩み悩んで書いていた部分なのでそう言って貰えると嬉しいです！夢主にも鬼滅キャラにも今世では幸せになってほしいです…楽しんでもらえて、良かったです^^ (2020年4月14日 22時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
mustard(プロフ) - わぁ！完結おめでとうございます！！とても面白く読ませて頂きました。夢主ちゃんが最後に皆に会いにいく所で涙が出そうになってしまいました（笑）今世で幸せになって欲しいです。 (2020年4月14日 20時) (レス) id: e36ed0dc7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこもち | 作成日時：2020年3月18日 17時
