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暗闇,008 ページ9







「むう…今日まで、じゃないです。『これからも』わたしは『ゆうげんじっこう』するんです。」




「なので、なにもため息をつく『ひつよう』はないんです……♪」




すっかり疲れきった様子の零は、彼女の宣言をバッサリ切り捨ててひとつ、背伸びをする。




「言っておくが、わんこ。我輩は何も、『背徳的で過激なこと』などされておらんからな。激情に駆られて変な気を起こすでないぞ。」



「あぁ?キメェこと言ってんじゃね〜よ、吸血鬼ヤロ〜。つうかよう、なんで俺様が来たとき床で伸びてたんだよ?」





「またAの気まぐれじゃ……」と自分で言っておきながら、げんなりと自身の楽器を手に取る。どうやら今日はエレキギターを掻き鳴らすようだ。






「わああ、会長さまもそういうの弾くんですね……いつもはじじ臭いのばかりえらぶのに〜」



「じじ臭い…。趣深いと言ってくれんか、我輩の興が冷めるじゃろう?久方ぶりに共にセッションでもせんか…♪」





そう言ってエレキギターを担ぎながら、シンセサイザーを探しだす。まるで背中に、エレキギターが無いかのようにちょこまか動いている。





「う〜んと…きょうは『えんりょ』します。わたしのせいで『ふかい』なきもちにさせて、ごめんなさい……はぁ」



「え"っ_____」





部屋の端でギターのチューニングをしていた晃牙も、血相を変えて彼女を凝視した。いきなり変てこな返答を返すものだから、一気に部屋の中の雰囲気がギスギスしていた。





「A。我輩と晃牙は、不快な気持ちになどなっておらんよ。まったく…人の調子を狂わせるのは天下一品じゃのう。困った子じゃわい♪」





すううっと凍っていた氷が溶けていく。時々狂わせられる彼女の調律。それは複雑な家庭環境で育った故に、補えなかったひとつの暴力である。そう、それこそが____『常識』。




「はい〜…そう言ってくれるとおもいましたよ、信じていましたが〜」




「ただ。残念なことに、『いちぶ』のひとには、うたがうことが『きょうせい』されます。フェアっていえません、正直くるしいです…」

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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時

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