Tennis match No.39 ページ40
「嫌だなあ、そんな目を向けないでよ。男の嫉妬は嫌われるんじゃないかな」
…ああ、本当だ。白石くんも永四郎も裕も、瞳に満ちた感情が一色に染まっている。しかも、負の感情で。…ちゃんとした色で表現するのならやっぱり暗い色なのだろうか。奏多に向けられた感情が明るくはないからやはり、黒に近いと思う。…それよりも早く下ろしてくれないかな、頼むから。永四郎の目が本当に
「…後輩をそう煽らないの。服着たいから下ろして」
ぽん、と奏多の頭を軽く撫でる。柔らかい髪質は触れていたいと思える様なものだった。寧ろ私が肩透かしを食らったみたくきょとんとしてしまう程、奏多は無防備な顔をしていた。…むず痒い。一瞬で仮面を纏った奏多が身体を下ろしてくれ、それと同時に裕に抱えられそうになるのをギリギリで避けてクローゼットを開く。
「…裕、前後の縮地法だけで私に勝てると思わないでね」
「…
「そういう努力家な所は私が負けるけどね」
さりげなくそうやって言うと喜ぶ裕が一番犬っぽいのだが、隣の白石くんと永四郎が微妙な顔をしていてどうしようも無くなった。ので、着替える事を口実に全員揃って外を向いて貰った。さっさと着替えてさっさと片付ける。断然こっちの方が良い、と言える様に防寒はしっかりとしておく。お陰で寒さも無くなってきた。奏多に借りた上着は畳んで返さなくちゃ、と。
「…良いよ」
一斉に振り向かないで。何でそんな所だけは息がぴったり合うのかな、君達って。…男の子だからなのかなあ。中学生ってそんなものだったっけ。…私がそれくらいの年の頃…も、大して変わらないか。ただもっと子どもっぽかったのはあったなあ。懐かしい。…さっきの薄着の防寒性の暴力に比べて、かなり落ち着いたから、と奏多に借りた上着を返してからそれぞれ突っ立ったままじゃ良くないから座布団やらクッションやらを持ってきて座って貰った。…大体全員私より背が高いから首を使った会話をしなくちゃいけないのが辛かった、それだけ。
「…A。あなたの知り合いが来るんだそうですね」
「…今日の夕方頃にね。君達四人には、何があっても私を信じていて欲しい。知り合いが…ナタリアが、何を言っても、何をしても」
「その、ナタリアっちゅー人が、向坂さんの知り合いなんやね」
「…名前だけ聞くと
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました! 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍梓 | 作成日時:2017年12月7日 22時