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Tennis match No.30 ページ31

翌日、早速それぞれの練習メニューが組まれてそれをこなしていたのだが。予想通り、私は身が入らなくて上の空を通り越してしまいそうである。柘植コーチに特殊メニューを組んで貰っている私からするととてつもない痛手で、何とかしなければならないのだが上手くいかなくて厄介だった。最低ランクの分もこなせなかったら、三船コーチの所にもう一回行き直さなくちゃになる…それはあんまり喜ばしくは無い。三船コーチは喜んでくれるんだけど、他の高校生の目が嫌だ。別に耐えられる範囲だし私が男じゃないから大した手を出せないのかな、なんて少し自意識過剰かも知れないけど思ってるから…それは良い。地味な嫌がらせは陰湿だから、その辺はロシアの嫌がらせの方がもっと楽だったと感じる。日本人は慎ましやかな分だけやり方も隠れていて気付いたらそこに嫌がらせが存在したというものが多い。面倒なのはそれだけ。…あからさまな嫌悪の方が慣れてる。女子に向けられる嫌悪の目は分かりやすかったからとても楽だったし、受け流せるだけの余裕はあったから。今の私に嫌悪を受け流す余裕が無いのもいけないんだけど、やっぱり。

「…うーん」

走り込みながら考え事ができるなんて器用だ、なんて誰かに何回か言われた気もする。こういうのを身体的な余裕とでも言うのか。違う様な。決着を付けてさっさと知り合いの娘(面食い)には帰って貰わなければ私の心身の平穏が永遠に訪れない。…色々、彼女は大袈裟で、オーバーリアクションだから私の目の前に現れるとなった時点で面倒だし。どうやって回避しようか考えて、考えて、考える。回避ができないなら真っ向から向かっても良いけど、そうすると逃げ腰になって泣くから苛立ちを覚えてしまうのも、私は仕方無いと感じる。乱れ始めた息を整える為にはペースを落としながら空を仰ぐ。冷えてくる空気を吸い込み、吐き出す。雲が点々とはしているけど晴れている。ここまで透き通る程に青い空が心地良くて、足が止まりそうになる。残り数キロくらいなら三十分も掛からずに走ってコートへと戻れるだろうか。ぼやけた視界には目蓋を一度強く閉じてからまた開く事で修正を掛けて、足を止めた。

「…いつまでも親の権力を盾に使っていられると思わないで、ナタリア」

その名前の響きは可愛らしくとも中身は完全に獰猛だから、私は毛嫌いしている。そんな事を知ってか知らずか彼女は近寄ってくるからとっても勘弁願いたかったんだけど。

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(プロフ) - 初コメント失礼します....!   入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました! 素敵な作品をありがとうございます(*^^*)  長文失礼しましたorz   (2018年1月19日 19時) (レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍梓 | 作成日時:2017年12月7日 22時

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