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Tennis match No.29 ページ30

「…私は奏多の傍に居るつもりだけど。好きって告げられるかどうかは分からない。一件が終わるまでは私に余裕が無いから…暫く保留になると思う」

「良いよ、それでも。待つのは得意だからね」

「…やめてよ、罪悪感が強くなるから」

この抱擁は、不器用な彼なりな、甘えろのサインなのだろうか。分からないままだけど、取り敢えず目の前の肩口には頬を擦り寄せておく。ついでに、男にしては華奢な背中に腕を回した。彼の腕はすっかり私の背中で絡んでいて離れられない。シャワーを浴びてからそんなに時間が経っていない様で、ほんのりと熱っぽい彼の体温が燻り続ける不安を鎮めた気がした。

「…君を、ロシアへなんて連れて行かせないから」

「…有難う」

今の彼は、本気で私を心配しているし、想ってくれているのだろう。だけどまだ、今は応えられないんだ。私にはまだやる事が残っているしこの一件が過ぎ去るまでは。人の目が周囲にある時と無い時で性格や言葉の選び方が変わるのは、もう無意識になっているのだろう。寧ろ私がこの人を守らなくちゃいけないんじゃないのか、そう思えてしまう程、彼の言葉や態度は脆そうに感じた。少しでも突き放してしまえば崩れ去りそうな危うい感覚は嫌いでは無いけど、今の不安定な私には彼を支えても支え切れる自信が無い。近くに居るだけでも構わないならそれで許して欲しい。そう思いながら、彼の耳元で話す形になってしまうも言葉を紡ぐ。

「…奏多が信じてくれるなら、頑張るよ」

「当たり前だよ、君の事は何があっても信じてる」

珍しく、溶けた様にふわりと笑う彼を見て、どうしようもなく支えたいと思ったのは、何故だったのか。支え切れないと分かっていても支えたいと思った理由が、私にはずっと分からないままだった。だけど奏多がそんな顔を見せてくれるなら分からなくても構わないと思えた。


─────


いつの間にか気付けば500hitsしていて、私の自己満足に付き合って頂けている方がいらっしゃる様でとても嬉しいです。お気に入り登録数も増えているので、どんどん更新していきたいと思います。昨日(12/11)のHit数が200ぴったりだった事も合わせて感謝を申し上げます。

そして相変わらず距離が近過ぎる入江くんに私が困惑し続けていますが、ようやく夢小説と言えるレベルになったでしょうか。極端な気もしますが。手探りながら夢小説らしくやっていきますので宜しくお付き合い下さい。

藍梓

Tennis match No.30→←Tennis match No.28



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(プロフ) - 初コメント失礼します....!   入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました! 素敵な作品をありがとうございます(*^^*)  長文失礼しましたorz   (2018年1月19日 19時) (レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍梓 | 作成日時:2017年12月7日 22時

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