没シーン 第八十五話 結末 ページ24
「起きろ。A君。」
「……君が死ぬのはまだ2年先だろう。」
「綾辻先生…」
私は、思わず呟く。
「………真逆、あれが君の伏線だと言うのか?」
「何が、今は特に意味が無い、だ。君にしては随分遠回しだ。」
「本当に君の未来を推測する力は末恐ろしい。」
綾辻先生の口調は怒っているように感じた。そのままAさんの前まで歩くと──
────先生は接吻をした。まるで何処かの王子かの様に。
「えっ!?綾辻先生??!」
「起きろ。俺にここまでさせたなら尚更な。」
まさか、と思いながらAさんを見ると……目が開いた。
『……驚いた。真逆、君が本当にそれを実行するとは。』
彼女は笑む。
「……させたのは君だろう。」
「えっ、Aさん、?!どういうことですか、?!?」
私は酷く困惑したまま、状況説明を求めた。何が起きているのかさっぱり分からない。
『異能力をかけてもらった。安吾に紹介してもらった異能者にな。』
『その異能力は白雪姫、その異能にかかると、重度な瀕死状態の時、接吻をされると回復する。効果は1度切りだ。』
「……だからあの時白雪姫の話を持ち出したんだろう。」
『………別に接吻の相手は誰だって良かった、誰にされても目覚めるからな。』
『真逆、本当に綾辻先生本人がやるとは思わないじゃないか…誰かに頼むだろうとも考えたんだがな。』
「此の方が手っ取り早い」
『嗚呼、其れもそうだな。』
流れる様な会話で、思わず私もそのまま頷きそうになったが、おかしいと気づいて瞬時に会話を止めた。
「一応女の子何ですよ!?誰でもいいなんて云っちゃ駄目です!」
『別にどうだっていいだろう。ファーストキスとか気にするような餓鬼では無い。』
「気にしてください!!」
何を言っているんだこの人は!と思った。どうしてこんなにも気にしない人なんだ……と頭を悩ませる。
「……今回ばかりは辻村君に同感だな。」
『…なら、綾辻先生も別の人に頼めば良かっただろう。候補は合ったはずだが。』
「……俺以外に取られるのが癪だと言ったら?」
Aさんはポカン、とした。
私は、え!?それって……と口を押さえて驚く。ニヤついてはいない、決して──神には誓えないが。
『……それはそれで面白いな。』
「チッ、少しは反応してくれてもいいだろう。」
『悪いな、2年間過ごして来ただけあって見飽きた。』
───そう云うAさんは幸せそうに笑った。
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