衣更真緒/息抜き ページ2
珍しく部活も何もない休日、現在地、真緒くんの家。
いわゆるお家デート…なんていうわけではなく、ただのお勉強会。
数学の課題を一緒にやろう、と誘われて、彼の家にお邪魔したのだ。
真緒くんはさっき「何か飲み物取ってくる」と言って部屋を出て行ってしまった。
静かな部屋で、一問も進まない数式に頭を悩ませる。
しばらくするとガチャっと、扉が開いて缶ジュースを持った真緒くんが椅子に座る。
「はい、オレンジジュースしかなかったけど、これでいいか?」
「うん、ありがとう」
缶ジュースを受け取り、プルタブを開けて一口飲む。
冷たいジュースが眠気から冷ましてくれる。
再び目を落とした先にある、数字と記号の羅列に、脳が働くことを拒否するが、頭を振って無理矢理働かせる。
くるくるとシャーペンを回して、一向に解ける気配のない問題を睨む。
ふと視線を感じて顔を上げると、真緒くんと目が合った。彼の問題集はさっきから一問も進んでいない。
「…私の顔に何かついてる?」
「んにゃ、そういうわけじゃないけど…」
否定するが、相変わらず私の顔をまじまじと見る。
…そんなに見られると集中しにくいなぁ。
そう思ってると、ひょいっとシャーペンを取られる。
「ちゃんと息抜きもしなきゃダメだぞ〜?ほら、今から俺と休憩な!」
そういたずらっ子のように笑って、私の手を掴んで寝転ぶ。
勢いはあったけど、真緒くんが支えてくれたから床に頭をぶつけることはなかった。
「ちょ、っと…!」
抗議しながら起き上がろうとするけど、先にそれを阻止される。
「ほら、寝るぞ♪どうせおまえまた徹夜したんだろ?そんな状態でやっても、わかるもんもわかんないだろ。だからまずは休憩だっ」
寝ころんだままベッドから器用にクッションを取り、渡してくれる。
確かに、もう眠気も抗えないくらいには強くなってる。
握られた手のぬくもりがちょうどよくって、さっきまで頑張って開いていた瞼も、だんだん下がってくる。
「…ちょっとだけ」
「おう、ちゃんと起こしてやるからな♪安心して寝てていいぞ〜っ」
なんて優しく微笑んで言ってくれる。
その笑顔に安心して、夢の世界にいざなわれる。
意識が途切れる直前、真緒くんの「お疲れ様、ゆっくり休めよ」という声が聞こえてきた気がした。
息抜きも適度に、頑張りすぎるのを止めてくれる彼に頼りましょう。
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作者名:野苺センセイ | 作成日時:2019年3月22日 20時