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拾参話 ページ15

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「林檎ジュースでいい?」


コクン、と頷く。

目の前にいる煙草のお兄さん。今はもう朝だろう。

目覚めると猫がいた。

うん、あれ、猫だよね。



「わんっ」


…鳴き声犬だけど、犬なんだけどさ!?

結構大きくて、フワフワしてるの。メインクイーンだっけな、そんな感じ。

キラッキラした目で私の方を向いて今でも飛び掛かりそうな勢いで構えてる。

私イスに座ってんだけど…。


「玲音、じゃま」


お兄さんは私にジュースを持たせると猫擬きもといレオくんをケージの中に入れた。


「で、君の家は?」


そしてお兄さんは私の向かい側ではなく隣に座って聞いてきた。

何と答えればいいのだろうと考えているとふわっと私の髪の毛を持ち上げて撫でてきた。

ちなみに白は目立つので今は黒く染めている。森さんの命令だった。


「答えたくないならいいけど、これからどうするつもり?」


どう…どうしよう。

今ここが何処なのか分からないし、ポートマフィアには怖くて行けない。

絶対、あの人たちは私の事なんて気にしてないだろう。

…次会ったら殺されそうだけど。


でも、ほんと、どうしよう。

お兄さんにすがりつくのは申し訳ない。でも、助けてもらったお礼もしなきゃいけない。

でも、でも、自分には異能も何も、存在意義すらないから、何も出来ないの。


溢れでる涙を溢さないように歯を食いシバって目を大きく開ける。



「泣き虫、なんだね」



────ほんと、___は泣き虫だなぁ。



優しさと、恐怖が交差した。


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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年7月12日 23時

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