キミに復讐したいから【赤司征十郎】

５（桃井side） ページ6

最近、赤司君の様子もAの様子も変だと思っていた。



赤司君は朝練に来ないし、Aはずっと暗い顔をしている。



理由も、なんとなくわかってる。



赤司君は最近、黒羽亜美奈って人とよく話している。
朝練に参加しない日も、している日も。



授業と授業の間とか、午後練に行く前とか。



赤司君の彼女はAなんじゃないの？
今、貴方の心の中には誰がいるの？



もう、Aが辛そうな顔してるとこ見たくない。



そう思って、今日は朝迎えに行った。



少しでも私がAのテンションを上げてあげようと思ったから。
珍しく青峰君も起きたしね。



まぁ、そのせいで若干危ない場面もあったけど。



それでも、Aは昨日よりは笑顔になってくれた。笑っていた。



それがすごく嬉しかった。



朝練が終わり、今日こそは話してませんように！と願い教室に向かった。



私はみんなに、本当に赤司君は用事があるかもしれないと言ったけど、あんなこと思ってない。



黒羽さんと一緒にいるために嘘をついているとしか思えない。



それほど、二人の仲は良すぎる。



今日、教室に入る前のAの顔が特に歪んだ。



赤司君と黒羽さんが話していたから。



私もたぶんAと同じく浮気の可能性を感じている。
なのに、何も言うわけにはいかない。



だから、仲良いよねと言った。Aも同じことを考えていた。



もっと、協力してあげよう。
Aと赤司君が元のように話せるまで。



教室に入るのを躊躇っているAの背中を押す。




「大丈夫。」



Aなら大丈夫だよ。



「赤司君の彼女はAなんだよ？
もっと胸張ってていいと思う！

行ってきな。Aなら大丈夫！」



精一杯の笑顔で言う。
私はいつでもAの背中を押して行くから。



迷惑がらないでね。



「ありがとう、行ってくる！」



私の言葉で勇気が出たのか、Aは自分の席に行った。



私に、キラキラと輝く笑顔を見せてくれた。



……もっと、頼っていいんだよ。



私にとってAはかけがえのない存在。



だからこそ、力になりたいから。

６→←４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す