中原の覇王 part6 (ページ40)

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246話ページ40

10万の首級を挙げ、勝利を収めたA

Aは函谷関で無様に敗走した拓跋紹を呼び出した

『紹よ。お前は韓信の諌めも聞き入れず、単調な攻撃を仕掛けて大敗し、名将の韓信を戦死させた。このザマでは将の資格はなく、本来なら死刑に相当する大罪だぞ』

紹「…」

『だが諸将が命を乞うてるので、全役職の剥奪のみに留める。しばらく邸宅に謹慎し、頭を冷やして反省するように』

紹「は…」

拓跋紹が退出すると、Aは嘆くように言う

『珪。紹は豚犬にも遠く及ばない愚物だが、嗣はお前に勝るとも劣らない傑物だ。私も協力するが、お前が主体となって嗣を導いてくれ』

珪「…分かりました！母上！」

拓跋紹は幼い時から粗暴で残忍な面を見せており、政からは警戒され、忌み嫌われていた

成長しても、勇敢で人望があった父の拓跋珪や聡明で騎射に優れた弟の拓跋嗣とは違い、利害に鋭く、無能で低俗な性格だったので、祖母のAから疎まれ、要職に就けられなかった

拓跋珪は、拓跋紹が変わる事を期待していたが、この戦で遂に拓跋紹を見限り、拓跋嗣を一層大事にするようになった

拓跋紹はこれにショックを受け、邸宅に引きこもると、酒色に溺れていった

数日後、王猛がAに進言する

猛「Aさん。我等の周辺には、扶越と誼を通じ、我等と敵対している勢力が多々存在しています。これらを滅ぼさねば、扶越を討つことは出来ません」

『うん』

猛「そこで…"戦争の自由"を復活させ、大将軍達にこれらを討伐させるべきです」

『成程…六将の復活か』

Aは龍虎将(六大将軍)を復活させると、拓跋珪も含めた現大将軍達に、戦争の自由を与えた

ただ、石勒と慕容恪はここに留め置き、近衛兵を率いさせた

そして…趙玲が意を決して願い出る

玲「天王様」

『趙玲？どうした？』

玲「私は引退したく思います」

『そんな…急にどうして…？』

玲「私は既に60歳を超えました。中華十弓の頂点でしたが、先の戦では私は弓を多々外しました。もう…前線を退く時が来たのです」

『そうか…お前にはまだ頑張ってほしかったが…分かった。今までありがとう』

玲「ありがとうございます」

『お前には世話になった。不自由があったら遠慮なく申してくれ。可能な限り対処する』

玲「感謝します」

こうして…元三大天にして、大将軍の趙玲は引退し、その軍は劉淵が全て引き継いだ

また、扶越に射られた事で衰えを感じたAも、戦は拓跋珪達に任せ、自身は都に腰を据えた