中原の覇王 part6 (ページ24)

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230話ページ24

敵対する一味を殺し尽くした蒙恬と王賁であったが、肝心な人物を取り逃がしていた

恬「李斯がいない！？」

「は、はい！どこを探しても、李斯の姿がありません！」

賁「王宮への道は完全に塞いだ筈…何処に隠れた？」

悩んでいる二人の元に、早馬がやって来た

「申し上げます！王離様が東に向かう李斯親子を目撃したと！現在王離様が奴を追っています！」

賁「東といえば…元帥の…！」

恬「それなら話は早い！きっと元帥が、殺してくれてるかもしれないね」

斯「武臣のガキ共が！あんな奴らが国を蝕むんだ！」

由「父上、何故よりにもよって…拓跋Aの邸宅を目指すのですか…？」

斯「今の奴に俺は殺せぬ。不本意だが…奴の考えが今は手に取るように分かるのだ」

王離が追いつくよりも早く…李斯はAの邸宅に逃げ込めた

『これはこれは李斯殿。随分大変な目に遭われて…』

斯「…」

『間もなく、王賁たちの手がここにも伸びるでしょう。貴方達を引き渡しても良いのですが……今日の私は気分がいい。貴方達を保護してあげましょう』

由「！」

『勿論条件付きですがね。貴方の政界完全引退は勿論、中枢は全て私に近しい者で占める…これが妥当かと』

由「！それは…！」

李由は苦悩した。それを認めれば、自分達の命と引き換えに、合法的にAを排除することは、最早不可能となるためだ

斯「…分かった。不本意だが、その条件を呑もう…！」

由「父上！？」

『交渉は成立…ですね』

斯「最後に！一つだけ聞きたい事がある」

『なんですか？』

斯「貴女の条件を呑めば…貴女とその一族は、未来永劫…秦皇室に忠義を尽くし、その凶悪な野望も収めるか？」

Aの顔から笑顔が消える

『……それは…どういう意味で？』

王離が邸宅に来たのは、それから30分後の事であった

『王離か。分かってはいるが何用だ』

離「義母上。そちらに李斯がいる筈です。殺したのでしたら奴の首を…生きていましたら、身柄をこちらに引き渡して下さい」

『確かにいるが…それは受け入れられん』

離「！？何故です！？義母上も奴を憎んでいる筈では！」

『確かに奴は漢の国を奪った政敵だが…まだ中華には奴がいるのだ。…私にとってもな』

最終的に王離は説得に応じ、そのことを蒙恬達に伝えた

Aの思惑に気付いた蒙恬と王賁は、矛を収めた

勒「何で李斯を庇うんだよ？」

『奴を今殺せばその場は安定するが、膿は消えない…それは中華にとって良くないんだよ』