35.〜カラ松side〜 ページ38
Aの一番深い傷
肉と肉が切り離され、そこから溢れ出す血の量は、Aの生命を維持するためには多すぎる出血だと、一目で分かるほどだった
冷や汗が背中を伝い、自分がする息も鼓動もハッキリしてきそうなほど、辺りは静寂に包まれていた。
その時、胸ポケットにしまってあった携帯が震えた。
両手で押さえていた布を片手に持ち換え、通話ボタンを押す
〜
電話が切れてからからしばらくして、後ろで声がした。
一分一秒が果てしなく永く感じ、待ちわびたチョロ松がいたのだ。
安堵するも、まだ間に合う確証はないままで、すぐに顔を伏せてしまった。
「カラ松、代われ。」
そう言われて、すぐさまチョロ松に場所を譲る。
止血剤のようなもので器用にAの傷口を塞ぎ、
先程までの苦労がまるでなかったかのように
血は勢いを弱めていった。
「チョロ松…すまない
俺がもっと早くAの異変に気付いていれば…」
「…気にするなよカラ松、お前はよくやった。
大丈夫、安心して。Aは絶対助けるから」
なにもできない自分を責めることしかできなかった俺に、チョロ松はそう言ってくれた
それは心強く、後ろ向きな俺の思考をかき消してくれた
「チョロ松、輸血するんだろ
俺の血が必要なんだろ、Aには。
だから、ぜひ俺の血を使ってくれ」
そう言うとチョロ松は
「お前なら、カラ松兄さんならそう言うと思ってた。
安心して。もともとそのつもり」
そう言って、少しだけ頬を緩めた
〜
採血が終わる頃に、トド松が担架を持ってきた
「遅くなってごめん！
車もすぐ出せるよ」
「わかった。
カラ松、Aを担架へ」
「ああ」
出血はなんとか食い止めたものの、
出血が多かったのか、Aの体は氷のように冷たかった。
先程採血した血をAの中へ入れ、
少しでも早くきちんとチョロ松が手術できる環境へ移らなければ
車へ担架を運び入れ、全員が車に乗り込む。
運転は俺だ。
チョロ松やトド松は後部座席で簡単に処置をして、少しでも時間を伸ばす。
ここからは一分一秒がAを生かすか殺すかを決める
「出すぞ」
そう言って車を発進させた
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こたつ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて光栄です！更新はもう少々お待ち頂けると嬉しいです (2016年6月1日 15時) (
レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この作品とても心にきておもわずないてしまいました (2016年5月31日 20時) (レス) id: 99a581fe59 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - エリカさん» コメントありがとうございます！テスト期間が終わり次第更新頑張ります！ありがとうございました！ (2016年5月20日 1時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 更新頑張ってください！ (2016年5月19日 23時) (レス) id: 516a27e0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます！自分の作品で泣いてくださる方がいるなんて…！恐縮です…。これからもぼちぼち頑張っていきます！ありがとうございました！ (2016年3月24日 18時) (レス) id: d698e139af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつ | 作成日時：2015年12月24日 0時
