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20.〜夢主side〜(過去話) ページ23

『っ…!え、なんでそう思うの?』

あからさまに誤魔化そうと目を泳がせながら言う。


「…お前、昔から嘘つくのヘタだよね。」

『ぅ…』

「その手の傷。どう考えても階段から落ちて出来た傷じゃない」

私は驚いて手を見つめると、薄っすらと靴跡が残っていた。

『いやっ…!これは、その、じ、自分で踏んづけたというかっ!』

必死で言い訳を探すが、手を踏めるほどの柔軟性は私にはない
あーあー、これは酷い、此処まで嘘を吐くのが下手だったとは

「A。」

チョロ松兄さんはズイと、距離を詰めて私を壁際に追い込む

『なっなに…?』

明らかに挙動不審な私。
兄さんは私が逃げないようにしたのか脇の下辺りの壁に手をついた。

「ちょっとごめん」

そう言うとチョロ松兄さんは私の服の袖を掴んだ

『えっ!』
私は必死で抵抗するも、兄の力に敵うはずはなく、
抵抗した手は壁に押さえつけられる

『やだ、やめて!』
最後の抵抗も虚しく
服の袖がめくられ、あざの残る素肌が露わになった。

「っ、A」
それを見た兄さんは苦しそうに顔を歪めた。

『やめてって言ったのに!』

見られてしまったからには、もう私に弁解の余地はなく
講義の声もおそらく兄には届かない

『兄さ「A。それ、どうしたの?」…っ』

私は兄さんに問われるが、答えない。
いや、答えられない。

だって、兄さん。今凄く怒ってる


「どうしたの。答えられないの?」
怒気を含んだ兄さんの声に、肩が震える


『、なんでも、ない』

「なんでもなくないよ!ねぇこの傷は?
何?なんでこうなったの。ねえ、答えて。A」

怖い。
怖いよ。

本当になんでもないの。
私のせいなの。
早く気づいて逃げていればこんなことにもならなかった
兄さんを心配させることもなかった。
だから、私のせい、私の。

だから、そんな怖い顔で怒らないで

『…ひっ…ぅ、っ』

いつもはみない兄の怒りに、いつの間にか嗚咽を上げて泣き出してしまった

それを見たチョロ松兄さんは目を丸くした


そして、
「ごめん。いきなり、怖かったな。ごめん。」


と、優しい声音で言って
そっと抱きしめてくれた。

まるで赤ん坊をあやすように
ぽんぽんと、優しく背中を撫でてくれた

それに安心した私はそっと兄さんの背中に手を回した


『ごめん、なさい』

鼻が詰まってうまく言えなかった
それを聞い兄さんの

抱きしめる腕の力が少しだけ強くなった

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こたつ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!更新はもう少々お待ち頂けると嬉しいです (2016年6月1日 15時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この作品とても心にきておもわずないてしまいました (2016年5月31日 20時) (レス) id: 99a581fe59 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - エリカさん» コメントありがとうございます!テスト期間が終わり次第更新頑張ります!ありがとうございました! (2016年5月20日 1時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 更新頑張ってください! (2016年5月19日 23時) (レス) id: 516a27e0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!自分の作品で泣いてくださる方がいるなんて…!恐縮です…。これからもぼちぼち頑張っていきます!ありがとうございました! (2016年3月24日 18時) (レス) id: d698e139af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたつ | 作成日時:2015年12月24日 0時

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