こんなにも胸は苦しいんだ【坂田銀時】

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午後から職場へ向かうと近藤さんに出くわした。
その手には紙袋を持っていて爽快な笑顔を向ける。



「お、先生ちょうど良かった！これめっちゃ上手い菓子なんだけど良かったらお茶でもどう？」



「え〜、食べたいです。ありがとうございます！」



最近は真選組の皆さんと打ち解けてきたおかげで前よりも気さくに話せるようになってきた。
男所帯に女がいたら嫌悪されるのではと思っていたけど全然そんなことはなかった。
むしろ和気あいあいとしていてとても楽しい。

私たちは近藤さんの自室へと向かった。
そこには休暇中の土方さんと総悟くんがいる。
2人はゲームに夢中になっていた。



「トシ、総悟。ほら、美枝子さんとこの茶菓子貰ってきたぞ。ゲームやめてはやく食べよう！」



だが2人は近藤さんの言葉を完全に無視。
暴言吐きまくりながら必死に戦っている。
近藤さんも諦めたようで先に食べようと苦笑した。
私はお茶を人数分煎れて先に頂くことにした。



「最中なんですね」



「食べてみ、めっちゃ上手いから」



桜味の最中はとても鮮やかな色合いだった。
ひと口かぶりつくとほんのりと桜の香りに包まれる。
中に入った白餡の甘さ加減も控えめでとても美味しかった。



「美味しい…！！」



「でしょでしょ！！」



近藤さんは嬉しそうに笑った。
しばらくの間私たちが他愛もない話をしていると土方さんたちのゲームが終わったようでこちらへやって来た。



「先生昨日は検査表ありがとうございやした」



「ううん大丈夫だよ。もう1つは明日出すからちょっと待っててね」



まだここで働き始めて一ヶ月。
最初は"桜木さん"なんて呼ばれて少し距離があったけれど今は皆"先生"って呼んでくれるの。
そんな些細な出来事がとても嬉しかった。



「先生、そういやこの前万事屋とパチンコ行ってなかったか？」



「へ？」



「2人が出てくるとこを山崎が見たって言ってた」




土方さんに誤解を招く爆弾発言をされた。
待って近藤さんの目が点になってる。
多分一昨日のことだろうけど違う違う。



「誤解ですよ！それ神楽ちゃんと新八くんに頼まれて連れ戻しに行っただけです！」



「先生…隠さなくたって俺ァあんたを見損なったりしないでさァ」



「ちょっと総悟くんなんでこっち見ないの？！ほんとに違うから！！」



もちろんそれは私をからかっただけだったみたいけど変な汗かいた。
仕事はすっごく充実してるし人間関係も良好。
"仕事だけ"はね。

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