こんなにも胸は苦しいんだ【坂田銀時】

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今日は午後から仕事を始めたため、残業をするつもりでいた。
しかし暇を持て余した土方さんや総悟くんと喋りながら作業をし、なんなら2人も手伝ってくれたおかげで早くに仕事が片付いてしまった。

しんちゃんに遅くなるから夕飯食べててってメールしちゃったけどまあいっか。
せっかく早く終わったことだししんちゃんの大好きな餃子でも作ってあげよう。

私は帰りにスーパーに寄って餃子の材料を買った。
またその途中で仕事終わりの坂田さんに出くわした。



「あーれ、先生。なに、夕飯買いに来たの？」



「そうです。今日の夕飯餃子にしようと思って」



「あー、餃子な。最近食ってねえわ」



帰る方角は途中まで坂田さんと一緒なため肩を揃えて歩いて行く。
かぶき町へ来て初めてお付き合いした住民は坂田さんのためあれから今日まで相変わらずお世話になっていた。



「今日彼氏は家か？」



「………はい。先日はご迷惑をおかけしました」



「引越しの片付け終わってストレス一つ減ったんだろ？なら良かったじゃねーか」



「……でもそしたらそしたでさらにまた悩みが増えていくんですよね」



「そしたらまた処理してけ。そんでどんどん悩みの種を分析してきゃいいんだよ────あえて目を背けていることにもな」



思わず私は坂田さんの顔を見上げた。
坂田さんは無表情のまま前を見て歩いている。
なんだろう。
坂田さんって何かを見透かしているような、鋭い何かがある。
"あえて背を向けていること"なんて、山ほどあった。



「……その結果余計悩んだり傷つくかもしれないじゃないですか」



「そしたら馬鹿になりゃいいんだよ。馬鹿になって考えることやめんだな。そして欲望のままに生きる」



坂田さんの言葉ってなんだかすごく胡散臭い。
けど、その言葉にはしっかりと重みがある。
だってこんなにもその言葉が胸に突き刺さっているのだから。

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