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自分に自信がある人は、私にとってはすごく憧れの存在だった。
私は常に自信が持てなくて、だからこそ自分の意見を言えない。
しんちゃんにもし不満を言ったら嫌われてしまうんじゃないか。
そう思うと怖くて何も言えなくなってしまう。
今日はしんちゃんの大好きな餃子を作るから久しぶりに仲良く甘い時間を過ごせるかな。
しんちゃんはお肉よりもキャベツ多めのシャキシャキな具材を入れて、にんにくをいっぱい使った餃子が特に好きなの。
私は誰よりもしんちゃんと長くいる。
だからしんちゃんのこと誰よりも知っているんだ。
そう、言い聞かせていたのに────。
「……しん、ちゃん?」
玄関に入ってすぐ異変に気がついた。
しんちゃんの靴と、見覚えのないピンクのピンヒール。
冷や汗と共に喉の奥がきゅうっと締まり苦しくなった。
分かってる。
この先にどんなものが待ち受けているか。
今すぐ家から出てしまえば苦しまなくて済む。
それでも足は前へ前へと進んで行った。
音を立てずにリビングのドアを開ける。
その瞬間はとても衝撃的で、脳裏にしっかりと焼き付いてしまった。
「んんっ…ちょっとしんったらくすぐったいじゃない…もうするの?」
「いーじゃん。お前もその気だったくせに」
「彼女帰って来ちゃったらどうするのよ?」
「大丈夫。今日夜遅いんだって。この前の続きしようぜ」
ねえしんちゃん。
私って貴方に何かしてしまったの?
私はただ、貴方のことを好きなだけなのに。
しんちゃんのためにずっとずっと尽くしてきたのに。
足が震え身体中の筋肉が硬直した。
目の前で2人は濃厚なキスを繰り広げる。
そんな優しい声で囁かれたのは何年前だろうか。
その女性は私が彼女だってことも知ってる。
同棲してるのも知ってる。
今日が本当なら遅かったことも知ってる。
それは全部しんちゃんが教えたんだよね?
それなのに大丈夫?
この前の続き?
頭が真っ白で無意識に涙が溢れ出てくる。
いても立ってもいられず、私は手荷物を捨ててマンションから出た。
しんちゃんのことを愛していたのに。
帰らないしんちゃんに目をつむって、貴方が帰ってくるのを待っていたのに。
私はしんちゃんの何なの?
もう、分からないよ。
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時