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朝起きて顔を洗う。
顔を上げ、鏡に写った自分はなんだかやつれているように感じた。

目の下のクマは随分と濃い。
まあでも、化粧でいくらでも塗り固められる。
全部、全部。



「A、起きてるよな」



部屋の前から聞こえた声は土方さんだ。
朝礼までには時間がある。
こんな朝早くから訪ねてくるなんて珍しい。



「なにか用ですか」



「買い出しの件だ。俺も同行するから朝礼が終わったら支度して来い」



土方さんも何か買うものがあるのか。
はたまた近藤さんに何か頼まれたのか。
どちらにせよ、本人の意思での同行ではないだろう。

私はタオルで顔を拭き、そのまま障子を開けた。
土方さんが背を向けようとしたタイミングだったからか少し驚いている。

いや、違うか。
ワイシャツの下に見える私の"印"を見たからだろう。



「お前、また……」



「10日ぶりのセックスだったからすごく気持ちよかった。それに私ハマっちゃったみたい。銀さんのテクニック、びっくりするくらい上手いから」



その瞬間背中から壁に打ち付けられた。
土方さんは私の肩を掴み、私の身体を壁に押し当てる。
悔しい?怒ってる?
その顔、ほんとに面白いよ。



「お前は俺に何を求めてんだ」



「何を?身体って言ったら抱いてくれるの?」



「ふざけたこと言ってんじゃねえよ」



「じゃあ真剣にお願いすれば良い?」



土方さんは鋭い瞳で私を睨みつけた。
その目には数多な感情が込められている。

もっともっと怒ればいい。
私があの日味わった怒りや苦しみを、あんたも味わえばいい。



「最初に裏切ったのは土方さん、あんただから」



その言葉に、土方さんの身体が小さく揺れた。

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マヨネーズライダー(プロフ) - 何回も読み返してます。切ないですね。これからも読み続けます (2021年2月14日 1時) (レス) id: 01ab9bdc45 (このIDを非表示/違反報告)
えいたん(プロフ) - とても引き込まれる作品です!更新楽しみにしてます! (2019年8月21日 4時) (レス) id: 8f70e4d35f (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ(プロフ) - 最高です!ハピエンでもバットエンドでも絶対面白いですね!更新あれば楽しみです! (2019年7月6日 18時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年6月27日 0時

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