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灰崎視点
…………俺の横で、Aが眠っていた
苦しそうにふ、ふ、と息をしている
…少し魘されているようだ
Aの体調は家に帰ってくるまでにかなり悪化した
……こうなるから具合が悪いならさっさと帰れって言ってんのに
熱なんてもうすぐ40度だ
だから額に手を当てるとかなり熱い
まったく…………
俺はそのままAの頭を撫でた
熱で汗をかいているからか、髪の毛は少ししっとりしている
…………Aに、別れる時はどうするんだと言われた
それで俺は、殺すと答えた
あと、閉じ込めるとも
そうしたらAは薄く笑って、それも悪くないなんて言いやがった
『お前に殺されるのも自由を奪われるのも悪くない』
それを聞いた時、なんてバカなんだと思った
悪くないわけないだろ
殺すんだぞ?死ぬんだぞ?
そこまでいかなかったとしても、閉じ込められるんだぞ?
それなのに、簡単にAは頷いた
…………ただ、バカだと思った反面、嬉しく思っている自分もいた
だって好きな奴にそれを許されたら…そりゃあ嬉しい
…ああ、俺はな
普通の奴ならそんなこと言わないだろうし、普通の奴なら承諾しないような話だ
誰だって自分の命は惜しいんだから
例え相手がいいよと言っても怖気付くだろ
だって、殺すんだ
好きな奴を
自分の手で………包丁を突き立てたり、首を絞めたり…
もし包丁を突き立てるなら…そうだな、俺なら頸動脈を切る
全身の血を抜いて、一つ一つ綺麗に取り出して、保存する
Aの生きた証だから
そして空になった身体を、ずっとずっとそばに置く
いつまでも、永遠に
…………………ああ、ダメだ
思考が逸れたし、考えただけで興奮してきた
…もちろんそんなことはしないけど
………俺のこんな考えを知ってもAは良いと言うんだろうか
でもこれはもしも別れた時のことであって…
別れる時だから、Aは今ほど俺に寛容じゃないかもしれない
きっと愛想を尽かして、呆れて、去っていく
そうしたら………Aは、あれを思い出すし、きっと自分を責める
おかしくなってしまうかもしれない
灰「………絶対、そんなことにはさせねぇから」
寝ているAを見てそう呟く
…Aに覆い被さって、唇を合わせた
………高熱のせいで唇まで熱い
まるでとろけるようだった
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時