見守る人��- no side ページ17
猫を抱えたAは一度お辞儀をするとアカデミーを離れた。小走りの姿が角を曲がるまで見送ってから、紅は木陰に向けてこう言った。
「隠れてないで出て来れば良かったのに」
「あれだって一応は立派なくのいちなんだ。何を勘繰られるか分からん」
図体に似合わず口ごもるアスマ。紅はくすりと笑って揶揄うように続けた。
「今更じゃない」
「何話してたんだ」
「うーん？色々。最近元気そうね、とか」
「何だかな、……まぁパッと立ち直れた方が異常か。何せ唯一の生き残りだからなぁ」
思い出すのは数年前の夏の日。
殉職した同期に囲まれて、ただ一人無傷で発見されたのが彼女だった。
術の特性の為か、悪運のせいか。
中々帰らないことを心配して向かった暗部と上忍の部隊は、その不遇な事態に思わず目を覆ったと言う。
人は本当に辛いことが起きると涙を枯らすらしい。帰還してからも一滴も溢さずに、呆然と空を眺めるままの彼女の姿があったことをアスマは思い返した。
煙草の煙を細く吐く。火を消すとベンチに向かう。律儀にライターまで仕舞ったのは、以前紅から指摘された為である。
「一時期は後を追ってしまいそうで、消えてしまいそうで、見ているこっちが不安になっていたけれど、ここ最近はずっと柔らかい表情をしているわ」
「あぁ」
「それもこれも、カカシ達のお陰ね。熱心に気をやっていたもの」
「Aのことを気にかけていたのはお前もだろう」
「私は一番辛いときには側にいてあげられなかった。だからカカシには感謝しているの」
「そうか」
恋人の口から自分以外の男の名が出たことにピクリと眉を動かす。しかし内容が内容なので突っ込む訳にもいかない。……というか、その点に関しては自分も頷けなくはないなとアスマは考えていた。
「アスマはどう思う？」
「綱手様も前線から退いた今、木の葉にはAの力が必要だ。勿論、上司として、部下の復帰を願わないはずがないさ」
「私もそれには同意するわ。今のあの娘ははっきり言って宝の持ち腐れだもの。でもそれ以上にね、難しいこと考えずに笑顔になれるような日常を送って欲しいって思うの。忍として生きなくたっていいから」
難しいだろうなと思いながらも、アスマはそのことを飲み込んで、曖昧な相槌で誤魔化すことにした。
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かにかま(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます^^ 折角声を掛けていただいたのに申し訳ないのですが、機械に弱いのでやめておこうかな…と思います。すみません; (11月6日 18時) (
レス) id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは、とても面白いです！これからも頑張ってください、あのもしよければボードで会話したいのですが不可能じゃなければでいいです！ (10月8日 15時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - こめおさん» ありがとうございます。頑張ります^^ (9月25日 0時) (レス) id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
こめお(プロフ) - ずっと待ってましたありがとうございます！！！！本当に嬉しいです！無理せず頑張ってください！！引き続き応援します！！ (9月23日 9時) (レス) id: 121e674881 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - こめおさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです！こちらこそ長らくお待たせしてしまいすみません;; 引き続き気紛れな更新になるかと思いますが、良かったらたまに覗きに来てくださいね^^ (9月23日 3時) (レス) id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2022年7月3日 18時
