＋＋＋＋＋ ページ19
.
『コイツらもアンタが拾ったのか』
『さぁ、私が拾ったのか私が拾われたのか。
今じゃよくわかりません』
『氏も素性知れないガキ集めて手習いだの剣だの教えてどうなる。
あんな連中が侍になれるとでも』
『さぁ、どうなるんでしょう。
私も楽しみです。ねぇA』
『いや知らんがな』
『こっちが訊いてんだよ』
なんだかこの双子もこの男もフワフワとしていて全く掴めやしない
そう思う高杉は少しばかり腹が立った
『私が訊いてるんです。
侍って何ですか。教えてもらえます』
『アンタ侍じゃねーのかよ』
『さぁ少なくとも君が思うような侍ではない』
立ち上がった松陽は庭を眺めるように背を向けた
『君は侍になるにはなにか資格がいると。
護るお家がなければ、尽くす主君がいなければ侍になれないと思っているんですか。
私は、そうは思いません』
武士道とはなにも国は主君に忠節を尽くす道だけにあらず
弱気己を律し、強き己に近づこうとする意志
自分なりの美意識に沿い精進する
その志を指す
松陽はそう言った
『だから、勉学に励み少しでも真っ当な人間になろうとする彼らも。
少しでも強くなりたいとこんな所に道場破りに来た君も。
私にとっては立派な侍なのです。ねぇA』
『あのちょいちょい私に振るのやめてくんない』
『この先、彼らが何者になろうともね。
そんな彼らを一人でも多く見届けるのが、そう私の掲げた武士道なのかもしれません』
『無視か』
真顔でツッコミを入れているAを他所に松陽はそのまま続けた
『君も道に迷って、ここに流れ着いたんでしょう。
私もそうです。未だに迷ってる。それでいい…
悩んで迷って、君は君の思う侍になればいい』
『……………………』
『ねぇA』
『だから振るなっつってんの』
カタカタと救急箱の中を整理して棚の中にそれをしまおうとすると、松陽が質問を投げかけた
『……Aの目指す侍はなんですか？』
『いきなりだな』
『……は……？お前、女のくせに侍なるのか？
確かにあの時、刀持ってたけど』
『はい出ました男尊女卑ィィィ！！』
これだからヤローは！！とAはプンプン怒っていささか乱暴にそれを棚にしまった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
江(プロフ) - Milkさん» コメントありがとうございます！好きと言っていただけて凄く嬉しいです！これからも愛読よろしくお願いします！！ (2020年5月8日 12時) (
レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
Milk - 初コメ失礼します！！本当に本当にこの小説すごく好きです…！！ (2020年5月4日 15時) (レス) id: b976b329cf (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 白狼龍さん» ありがとうございます！更新頑張りますね！ (2020年5月1日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - ☆ねこ☆ねこ☆さん» コメありがとうございます！これからもハラハラドキドキしちゃってください！ (2020年5月1日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
白狼龍 - 面白かったです！ とても続きが気になります(*´∇｀*) (2020年4月26日 22時) (レス) id: b10076b070 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：江
| 作成日時：2020年3月13日 16時
