やつがれちゃんが大好きすぎる皆様の重い愛を具現化した短編集。

敦芥『壁ドン』 ページ9

◆



　最近、芥川の様子が可笑しい。






【壁ドン】







「ええ？敦君が風邪ぇ？」



「そうだ。だから太宰、貴様は2人分の仕事をしろ」






　探偵社の新人社員、中島敦はその日風邪で休んでいた。だがそれは表向きでの話である。

　事実敦は風邪などひいていない。これでもかというほど元気である。



　では何故嘘をついてまで探偵社を休んだか？それはスランプでも反抗期でもない。ただ恋人が最近冷たいから１日使って問い詰める為だ。



　その恋人である芥川龍之介は今、どんな状況に陥っているだろうか…。



＊＊＊＊＊


「芥川、何か隠し事してるだろ」



「意味が判らぬ」



「隠し事すると芥川は目ェ剃らすよな」





　こんなやり取りはこれで何回目だろうか。敦の自宅で芥川は拷問紛いのことをされていた。仁王立ちする敦と正座する芥川。



　芥川の様子が可笑しいのは僕の思い込みではないか？と敦も一度疑ったが、自分の目に狂いはないと確信してこその状況。






「本当に？」



「………あぁ」






　いやいや、絶対何か隠してるよ。と敦は内心あきれていた。そして芥川は芥川で帰りたいと言うように先刻から少しずつ座る位置をずらしていってる。






「あっ、こら帰るな」





　堪忍袋の緒が切れたのか、帰ろうとする芥川。しかし反射神経の良い敦はその細い手首をぱし、と掴み近くの壁まで追い込んだ。





　＿＿俗に言う『壁ドン』である。






「じじじじじじんこっ…！」



「人虎？」





　さらに追い討ちを掛けるように顔を近づける。互いの吐息が聞こえる程近づいたその時、芥川が口を開いた。






「敦への贈り物の準備があった故っ…隠し通す為に尽くしていたッ…」







　これはなんとまぁ可愛らしい回答であろう。敦はそのまま芥川にもたれかかるように脱力した。






「なんだよ、そんなことか…」



「そんなこととはなんだっ…僕は貴様を想って…！」





　そんな事を言われれば敦も堪った物ではない。半ば強引に口を塞ぎこう言った。






「芥川、今のうちに明日休みにしてもらった方がいいよ」






　案の定敦の予言は当たったそうだ。





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　リクエストありがとうございます。


　やつがれちゃんはきっと敦くんへ誕生日プレゼントをしようと考えていたのでしょう。ネクタイピンとかだったら萌える。そんな敦芥落ちてませんか？

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