わたしが選ばれた理由、それは４【オリオンの刻印】 (ページ8)

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知らせは唐突にページ8

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「やっば……！」

食事を終え、食堂で何気なくスマホを見ていた美琴は、突然声を零し、ガタンと大きな音で椅子を引いて腰を上げる。
隣で食事を取っていた万作が「ど、どうかしたんですか？」と恐る恐る、勢いよく立ち上がった彼に問いかける。

「あー……ちょっと急用思い出した」

＿＿先、部屋に戻ってるな。

珍しいことに、忙しく食器類を片付けて食堂を後にした美琴。彼の周りに座っていた万作、稲森、氷浦、剛陣、岩戸は頭上に『？』を浮かべせて首を傾げ、事の原因が分からないまま彼らは食事を再開させる。

「美琴さん、どうしたんだろ？」
「あんなに急いでいる美琴さん初めて見たな……」
「まあ、ここの俺たちが知らないだけで、あの美琴さんなら普通のことなのかもな」

＿＿まだちょっと、あの美琴さんには慣れないけど。

気を取り直して、フォークにクルクルと巻きつけたパスタを口の中へと運んだ万作は、数十回程咀嚼を繰り返した後(のち)に飲み込む。そして目の前が空席になった稲森は、食堂の天吊りのテレビへと視線を向ける。

「今夜はまた一段と冷え込み、夕方辺りからは地方によっては所々雪マークが目立ってますね」
「今日洗濯物を干してきた方は早めに取り込んだほうが良さそうですね。それでは次のコーナーに＿＿」

「今夜は雪が降るってさ！」
「島では降ることはなかったし初めてだな」
「楽しみでゴス！」
「お前ら、外に出て行くならちゃんと防寒していけよ？」
「はい風丸さん！＿＿って灰崎？どこ行くの？」
「……急用だよ急用。てかおい一星、お前も急用あっただろ」
「えー……」
「つべこべ言わずに行くぞおら」
「僕も行きます！」
「よし、んじゃ早く行くぞ」

＿＿遅くなると、たぶんアイツが一人で全部終わしちまうだろうから。

性格、趣味、学校など共通点が殆ど見つからないメンバーである１年組は、数分前に食堂を出て行った美琴の後を追うように、彼らも早足に食堂を去っていった。

「珍しいな、あのメンツ」
「三人同時に急用って何でゴスかね？」
「さあ？まあ、仲良くコミュニケーション取ってる分には心配する必要もないだろ」

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