11.side彩 ページ12
合宿初日、沖縄まで行くので、朝の集合が午前4:30だった。
夏だから寒くないけど、4:00はまだ少し暗い。
彩「行ってきまーす!」
母「いってらっしゃい!」
荷物を持って玄関を閉めた。顔を上げるとそこには上杉君がいた。
彩「上杉君!?おはよう。どうしたの?」
上「朝早いと危ないだろ。心配だから一緒にいこうとおもって。」
心配してくれたの?
私がぽかんとしていると、上杉君は顔を少し赤く染めた。
上「い、行くぞ!」
歩き出した上杉君に私は急いでついていった。
上杉君は、いつもクールで、口数が少ない。涼しい感じがするんだ。
でも、こういうところはちゃんと気にかけてくれるのが上杉君の優しさだよね。
若武の家に2人で歩いていく。
こういうときって何話せばいいのかな?会話をしないから、気まずい・・・。
上「なぁ、今日、持ち物って若武にいわれたやつだけ持ってきた?」
急に聞かれてあたふたしたけど、何とか答える。
彩「うん。他には携帯とか必要かなーって思うもの。」
上「じゃあ、事件ノートは?」
彩「何かあったときのために一応持ってきたよ?」
上「そっか。」
彩「・・・・・・」
また会話がとぎれる。どうしよう!
上「おまえってさぁ、」
彩「ハ、ハイッ」
上「なに緊張してんだよ。」
彩「いや、別に。で何?」
上「お前って、シュン・サクライ覚えてるだろ?」
彩「うん・・・。」
シュン・サクライは、私の初恋の相手。
いまでも、ラベンダーの香りと優しげな目は鮮明に覚えてる。
でも、〔本格ハロウィンは知っている〕の時に亡くなってしまった。
上「好きだったんだろ?シュン・サクライのこと。」
ェ?な、何で知ってるのぉ〜!?
私の反応を見てか、上杉君はクスッと笑って言った。
上「やっぱり。・・・かっこよかったよな、あの人。」
彩「うん・・・。」
そんなことを話している内に、いつの間にか若武の家についた。
若「遅い!・・・なぁ!何で上杉がアーヤと一緒に来るんだよ!?」
若武が上杉君の襟元をつかんだ。
上「たまたまだよ。それに、まだ4:20だろーが。何が『遅い!』だよ。」
え・・・たまたまじゃないよね?
若「うるさいっ!」
黒「若武、全員そろったんだし、行こうぜ?」
若「そうだな。諸君、駅に行くぞ!」
えらそうに『駅に行くぞ!』ってちょっと若武らしいかも。
よし、合宿楽しむぞー!
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作者名:彩芽 | 作成日時:2016年12月16日 7時