極楽ハニー【ars K.N】 (ページ20)

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20.図書室。ページ20

誰も来ないだろうけど、万が一の事を考えて本棚と本棚の間に隠れるようにニノミヤを連れ込んでしまったせいで

ニノミヤの距離が近い。

無駄にオシャレぶるのが好きなうちの会社は、このほっとんど誰も使わない図書室も無駄にオシャレで

全然歴史なんて無い上に、ビルの中にあるくせに物凄い歴史ある雰囲気のアンティーク調の内装に造られてる。

高い位置にある窓から射し込む薄い光さえ、無駄なオシャレ感を演出されてるかのよう。

その、薄靄がかった光がニノミヤを照らしてる。

白い喉が、目に痛い...

「...昨日の...事なんだけど...」
「うん」

ニノミヤに掴まれてる腕に視線を落として、ニノミヤの目は全く見ずに話す。

「...私...何かシちゃった...？何にも覚えて無くて...」

気分はヤリ逃げした男みたいだよ...

「あのっ...！ってゆーか、ニノミヤ送ってくれたんだよね！？ごめんね！？酔っ払いのお世話大変だったでしょ！」

もう、あまりに気まずくて口がペラペラ喋り出す。

「センパイ、覚えてないの？」
「...え...？」
「何にも？サッパリ？」
「...何にも...サッパリ...」

ふぅん...と呟いたニノミヤが「どこまで知りたい？」って私の顔を覗き込んできた。

「どこまで...って...」
「だって、何も覚えてないんでしょ？けど、知らない方が良いってコトもあったりするし」
「知らない方が...良い...」

...コトって何だよ！？
私、一体何をしでかしたのよっ！？

「...ごめん...ホント何も覚えてない...」

覚えてないの！
悔しくなる程、覚えてないの！！

『クセになるえっち』なのかどーかどころか、ニノミヤがどんな身体なのかも、どんな甘い声を出すのかも、テクニシャンって噂通り上手いのかどうかも...

「オレ、上手いよ？」
「はぁぁぁっ！？」
「センパイ、何も覚えてないって言うからお伝えしとこうと思って」

何でも無い事のように、ニノミヤはサラッと言う。

ってか、そんな事を言うって事はさ...

「...私達って、やっぱり...」
「でも、相性は良かったと思うよ？」
「相性...って何のよ！？」

言ってすぐに、この流れで出て来る『相性』なんてそれしか無いだろう！って思ったけど、時既に遅し。

「カラダ」

ですよねー...って答えを、ニノミヤの綺麗な口元が零した。