4.新居。 ページ4
本当はこの春から私は、就職するはずだった。
短大の時にバイトしてたカフェ。
そこでそのまま社員として契約して貰えるはずだったのに、卒業間際に社長が飛んだ。夜逃げ。
勤務してたカフェも、当然閉店。
経営不振だったなんて、知らなかった。
知らなかった私がバカなんだ、と自分を呪った。
でもやっぱり、社長を呪った。
呪い殺せるレベルで呪った。
そんな突然「就職の件は無しで」って言われた所で簡単に就職が決まるはずも無くて
だけど親と、短大を卒業したらしっかり自立する為にも家を出るって約束は高校生の頃からしてたから何となく出なきゃいけない空気になってて
でもプー太郎では家を借りるのも難しくて、どーすんの！？ってなってた時に親戚の家族が五年間の地方勤務になったからその間だけ部屋が空くんだって話が飛び込んで来た。
『留守中に掃除してくれる人がいたら助かるからAちゃんが使ってくれたら良いよ』なんて有難いお言葉を頂いて
私は晴れて、分譲のデザイナーズマンションなんて身の丈に合ってない部屋に住むことになりました。
めでたし、めでたし。
「えっと...何階だっけ...」
玄関ホールでもう一度、地図を見る。
『ドゥパレ・203号室』と書いてある。
「2階ね...」
階段かエレベーターはどこだろう、とキョロキョロしてると
エントランスの自動ドアが開いて、誰かマンションに入って来た。
あ、挨拶しなきゃ。
最初が肝心。
その人は、パーカーのフードを被って俯き加減に歩いて来る。
細いし小柄だけど...多分、男の人。
「外、あったかかったなぁ。もう春だよな、ンフフ」
ちょっと舌足らずな感じの、緩い喋り方
甘えた雰囲気の笑い方
独り言かと思ったけど、彼にはちゃんと話し掛けてる相手が居た。
彼のファスナーを半分くらいまで閉めたジップアップパーカーの中から、顔だけヒョッコリ出した小さな白いチワワ。
服の上からそのワンコを抱いてる彼の手首には、リードが引っ掛かってる。
「あ...あのっ」
声を掛けたら、彼が顔を上げた。
あ、似てる。
抱かれてるワンコと顔、似てる。
「私、今日越してきました。天野Aです」
「うん、どうも」
「よろしくお願いします」
「うん、よろしく」
胸の中のワンコの頭をフワフワと撫でながら、彼が受け答えする。
「あの...」
「あ、ここ犬飼って良いのか？って思ってんでしょ。オレだけは良いの」
彼は「ねー？」ってワンコに向けて、飛び切りの笑顔を見せた。
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まめなり(プロフ) - 図々しいかもしれませんが続編を検討していただけると何よりも嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。長文失礼いたしました。 (2017年7月18日 10時) (
レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - 最後Nくんは実家に帰ったのかなぁとかAくんとあの子はどうなったのかなぁとかOくんはあの子とどうなったのかなぁとかSくん結婚しないかなぁとかMくんもあの子とどうなったのかなぁとか。そして何より1番気になるのは主人公のカフェはどうなったのかなぁと。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - が好きです。ロマドーの雰囲気もそこで暮らしている人々も。(個人的には最後結ばれるのが担当様だったのも嬉しかったです笑) 今まで色々reiさんのお話を読ませて貰っていましたが、このロマドーも相変わらず素敵なお話だと思いました。そこで続編のお願いを…笑。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - こんにちは！どこに書けばいいのかわからなかったのでココに。私はロマドーの2章が始まったくらいで受験勉強のために占ツクから離れた者です。受験も終わり久々に占ツクを訪ねてみるとロマドーが完結していて思わず読んでしまいました。率直に言ってホントにロマドー (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いきなりすいません！君の名は。って話ありますね笑 (2016年10月27日 14時) (レス) id: 55ecfc4463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年1月27日 19時
