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｢おっはよー、アレン！｣
けたたましいアラームの音に負けないほど大きな声を張り上げてAは勢い良く押入れを突き抜けてアレンの元にズームインする。ぬっと出てきたAにアレンは驚くが、改めて昨日のことを思い出すとあまりに現実味のない話だと頭をかいた。
｢おはようございますA。……君は、元気ですね｣
朝ごはんは何がいいか、昨日はよく眠れたか。そんな当たり前のことを聞こうとしてアレンは口を噤む。彼女はこの世の人間ではない、生者ではない。元気だねなんて誤魔化すようにしてアレンはリビングへ向かい始める。なんとなくそれを察したAは思い切ったようにアレンの名前を呼んだ。
｢あのね、私もちゃんと存在してるんだ。この間公園のシーソーに乗った時に分かったんだけど｣
｢シーソーって、子供ですか｣
｢たまたまだよ！ 通りかかったから子供に戻ってみたの！｣
Aが体重計の上にふわりと降りると、アレンが呆れ顔でそれを覗き込みじーっと見つめる。ややあってアレンは少し驚いた顔をした。体重計の針が二十一グラムを指している。
｢二十一グラムって、魂の重さなんだって｣
私が、Aが存在してる証拠だよ。
少し切なげに笑いながら先に戻ると伝えたAはゆるりとフェードアウトして消えていく。
｢えっ、アレン、これ｣
｢ああそれは義父のもので……｣
｢未成年飲酒はダメだよ｣
｢義父が飲み散らかしていったボトルですってば！｣
｢なんだ、てっきりアレンのかと思った｣
アレンがぶつぶつ言いながら散らかし放題の部屋を片付ける間、Aはティムに吠えられていた。リビングの近くの酒臭い部屋は、もう随分長い間使われていないようでカーペットには埃が積もっている。アレンの義父、クロスは仕事で海外を飛び回っているらしく各地で愛人を作っているらしいとんでもない人だと聞いた。彼も苦労人である。
｢ご飯食べた？ じゃあ行こうアレン！｣
急かすようにして家の玄関を突き抜けると勢い余ってラビにぶつかった。実際ぶつかったというより突き抜けたのだが、彼がここにいるとは驚いた。
｢よっアレン、早く行こうぜ｣
｢……ええ、おはようございますラビ｣
申し訳なさそうにこちらを見たアレンにAは微笑む。そうだった、私にはアレンしかいないけど、アレンには他のみんながいるんだった。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
