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付き合ってるなら教えてくれれば良かったのに!とか一緒に回れてよかったね、学祭デートいいな〜とかヘラヘラ笑いながらアレンにかける言葉は考えた。頭の中ではそのシチュエーション通りに実行できても実際は声が喉に張り付いて出なかった、Aは自分の不甲斐なさにがっくり項垂れる。ダメだなぁ、ほんとは笑って背中押してあげたいのに。顔を合わせられずに時間だけが流れていく、学校にもいかず家にも顔を出さずでもうアレンとは何日も会っていなかった。
「でも夏祭りひとりで行くとか言っちゃったしなぁ……」
はぁ〜と大きなため息をついて過去の自分の発言を取り消したくなる、覆水盆に返らずとはこのことか。夕方も蒸し暑かった。浴衣や甚平をきた子供たちが走り回っているのを眺めながらAは悩んでいた。いや、そもそもこんな風にうじうじ悩んでいるのは自分だけでアレンはきっとなんで最近いないんだろうな〜程度にしか思っていないかもしれない、ていうかそうだ。絶対そうだ。そうに違いないと信じ込むことにしたAはギィ、と音を立てて錆び付いたブランコから勢いよく立ち上がる、たとえアレンとリナリーが一緒でも今日は逃げたりしないで「良かったじゃん」と親指を立ててやるのだ。
「わーお、めちゃめちゃ人多いさ」
「帰る」
「オイオイ待てよ! 先生と回りたくないとか言い出したのユウだろ!?」
「……チッ」
「あーあ、祭りには間に合ったもののなんで悲しく男ふたりで回ってんのかね」
「リナとモヤシも居るはずだろ」
「いやでも一日目終わるし、邪魔すんの悪いさ」
ここ最近アレンとリナリーは以前に増して一緒にいることが増えたと思う。というかあれはもう絶対に付き合っていると思う、隣で同じことを考えているであろう神田を見ながらラビはう〜んと唸った。でも学祭前は余計なことしないでくれとリナリーに怒られたし、彼女自身からアレンには他に好きな相手がいると打ち明けてくれた。一体彼らの間に何があったのか気になりすぎる。議論するふたりの側を人混みなど関係の無いAは通り抜けた。神社の鳥居の上に座っていると、丁度アレンとリナリーが石段を登ってくる。すぐにAの姿に気付いたアレンはひらひら手を振った。
「良かったじゃん」
やっと言えた。Aを見上げるアレンに向かって親指をあげる。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時