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わかってた、アレンが見てるのはずっとわたしじゃなくてあの子だってわかってたはずなのに、わかってなかった。全然わかってなかった、こんなに苦しいなんて知らなかった。

「……うぅ〜〜〜!! ぅ、うあああ〜……!」

 無我夢中で色んなところを通り抜けて神社に来た。錆び付いたブランコを揺らしながら唇を噛んで声を我慢するのも限界だったのでどうせ誰も見ていないと思って大声で泣いた。我ながら情けない声だった。好きになるには覚悟が足りなかった、いつか彼の手によって"消される"かもしれないと理解していたつもりだった。それなら本望だと思っていた、でも実際はあんな風に楽になる前に苦しい騒動が待っているのだ。

「分かってたんじゃねえのか」
「……」
「目障りなんだよお前、アレンに付き纏うのは勝手だが仕事に支障が出るようならオレがお前を消す」
「だって、」
「あ?」
「だって腐った恋愛してきたクロスさんにはわかんないよッ! 変態ジジイ! アル中! 人でなし! 借金野郎!」
「……テメェ中々言うようになったじゃねえか」

 あの時と同じ冷たいクロスの目を見てAは覚悟した、その手の内からまっしろのかつてAを拘束した何かが伸びてきたらもう終わりだ。しかしクロスはしばらく黙った後に豪快に笑った、Aは拍子抜けしてぽかんとした顔で目の前の男を見つめる。涙も止まった。

「オレにはお前は消せん、何せお前は厄介だ」
「ええ、じゃあなんですかさっきの……」
「アレンも、誰にもな」
「ぜんっぜん意味わかんないんですけど」

 はぁ〜〜?という舐め腐った顔をしていると油断していたからかシュッと伸びてきた白いもので頭を叩かれる。それは一瞬にして彼の手元に引っ込んだがAへ干渉出来る効果があるので、彼曰くそれでAは消せないらしいが触れられて心地のいいものではなかった。

「泣いてる暇あるならお前も手伝え」
「ええっ! 嫌ですよ大体この体で何が出来るって言うんですか!」
「なんかあるだろなんか」
「無いですよ!」

 なんて無茶言うんだと呆れてAはブランコを揺らしながらクロスの背中を見送る、どうやらこれから神社では祭りの準備が行われるらしかった。もう夏祭りも今週末に迫っている。

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設定タグ:D.Gray-man , アレン・ウォーカー , 現パロ   
作品ジャンル:アニメ
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時

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