14 ページ45
学校祭一日目の文化祭は朝から、特に三年生を筆頭に大盛り上がりを見せていた。各学年、各クラスの出し物はどれも面白くて良かった。アレンはどこかにAの姿はないかとステージの裏から視線を巡らせながら一年生の劇が終わるのを見守る、気付く頃には暗幕が降りてきていた。十五分の休憩を挟んでまたステージの幕が上がった、その間に去年の面白い人部門に選ばれた先輩のふたりがコントで熱狂する場を更に盛り上げていた。
「おーい赤軍！ まだまだ行くさーー！」
突然キィィンとマイクが不吉な音を出し、聞き慣れた声が痛いくらいアレンの鼓膜を震わせる。ステージに立っているのはラビだった、次は彼らのクラスの出し物らしい。ビリビリとした頭痛が来るが、そんなことはお構い無しに同じ赤軍の同胞はステージに乗り上げるほど詰め寄ってお祭り騒ぎをしている。女子の黄色い声と野郎共の野太い声、赤いタオルやうちわが振り回されている。「盛り上がってるかー！？」とラビが叫べば会場は割れんばかりに揺れる。
赤軍でひとりシラケているのはアレンだけではないだろうか、いつの間にやらステージには嫌々連れてこられた神田がラビに肩を組まれていた。時折ラビのマイクを通して神田の嫌がる声が聞こえてくる。そしてまた女子から黄色い声が上がっていた。うるさくて騒々しいステージは今や色の関係なしに人という人が詰め寄って溢れ返っている、流れる音楽と熱気、一体感、一瞬が全てに詰め込まれていた。ステージで笑ったり歌う彼らの瞳は輝いていて、あの神田でさえもほんの少しだけ笑っているような気がした。
「すごかったね、ラビと神田！」
「……見てるだけで疲れました」
「午前中お疲れ様、劇良かったよ」
長かった午前中も終わり、午後からは自由時間になっていた。約束通りアレンはリナリーと模擬店や教室を回り何故かノリで前に買ったうさぎの帽子を二人で被っていた。途中でラビと神田も見かけ、驚いた様子の彼らが何か言いたそうな表情でこちらを見たが何せ人気が高く女子の群れに囲まれていたため話す機会がなくリナリーは苦笑いして小さく手を振っていた。その時だった、アイスメロンパンを販売していた二年生の教室からAがふよふよ出てくる。異様な彼女は人目につきやすい。紺のスカートが揺れて、目が合った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
【黒尾鉄朗】夏色 Sparkling Soda.�供畋�3体育館組】
【名探偵コナン】ブロンドの髪を持つ美少女は宮野姉妹のいとこ！PART11
工藤優作の従兄妹は美人医師。4
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
