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今まで兄に大切に過保護すぎるほど大切に育てられてきたリナリーがそれに気付けないのは仕方の無いことだった。うん、好きだ、優しく笑いかけて手を伸ばしてくれるこの人が好きだ。強引にあのメンバーに誘ってから、笑った顔を見てから、怒った顔を見てから、弱い一面を見てから、もしかしたらそのずっと前からもう自分以外の誰かの元へ駆けつけて遠のいていくあの背中に恋焦がれていたのだ。
「文化祭一日目あるじゃない、アレンくん午後から時間ある？」
しかしここで――例えアレンに意中の相手がいようと――ああそうですかそれなら仕方ないですねと食い下がるリナリーではなかった。何せあの曲者で変人のコムイ・リーの妹だ、一度決めたことは曲げたくなくて負けず嫌いなところは兄妹で全く一緒なのである。
「ありますけど……」
不思議そうにこちらを見つめるアレンにリナリーは半ばダメ元でゴリ押しした。これは一世一代の駆け引きだ、玉砕覚悟で思い切って言ってみた。
「お昼からの自由時間、一緒に回りたいなって」
「いいんですか？」
「うん……ダメ？」
「リナリーがいいなら行きたいです！ 二年生の模擬店にアイスメロンパンありましたよね！？」
「ああ、確か隣のクラスにあったね」
「僕それ食べてみたいです！ 行きましょう！」
「じゃあそうしよっか！」
「はい！」
食べ物のことになると急に語気が強まり饒舌になるアレンにリナリーは苦笑いする。今までなら可愛いなと思って収めていた気持ちが今は抑えきれなくなって爆発して、こういうところが好きだなと素直に思えた。
「学祭楽しみ？」
「そりゃ、初めてですから」
「そっか」
「リナリーは楽しみじゃないんですか？」
「楽しみだよ、でも発表とか部門の演出とか上手くいくか不安だなって」
「真面目だなぁ」
鳥居へと続く長い階段に座ってしばらく話していたが、四時前になってやっとふたりは立ち上がった。まだ暑かった。じゃー帰ろっかと声を掛けると自転車が置かれていた場所まで歩くとサドルに跨って学校を目指して走る。その日の夜、今日あった出来事を全てラビに話した。
「余計なお世話どうもありがとうね」
「はは、怒ってる？」
「別に」
「でも予想外さ、前向きだな」
「だって無理矢理でも前向いてないと、しんどいでしょ」
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
