あの手この手で捕まえて ページ31
そういえばさあ、とラビが切り出す。じりじりと焦がすような熱に当てられて全員うだっているというのにラビだけは顔を輝かせて相変わらず元気だった。買い出しについてきてやったんだからアイスを奢ってもらおうと考えながらまたペダルを漕ぐ足に力を入れる。午前中の補習授業を終えたラビと神田は午後から買い出しにいくらしかった。丁度模擬店の買い出しに行こうとしていたリナリーと合流し、玄関で鉢合わせしたアレンも暇だった(クラスの手伝いをサボれる)のでついてきたというのがここまでの流れである。
「来週神社の祭りあるじゃん、俺らあれ行けないかもしんねー」
「俺らじゃねぇ、俺は行くなんて一言も言ってない」
「えー、どうして? ラビも神田も卒業しちゃうから今年で最後なのに!」
「ゴメンな、俺は特進の夏期講習で学校に缶詰めだろ? ユウは期末で赤点三つ取ったからその補習」
「それって神田は行かないんじゃなくて行けないんじゃないですか、ぷぷふ」
「……てんめえたたっ斬る!」
少し後ろにいた神田を馬鹿にして振り返ると物凄い形相で追いついてきた。アレンが慌てて逃げるのを見てリナリーは呆れたように笑った。
そういえば見事に年齢がバラバラのこの面子に春から加わった彼は最近よく笑うようになったと思う。何年も一緒にいる訳では無いがリナリーもそれなりにアレンとの関係を築いてきた、入学当初から周りと一線引いていた彼の側にはいつも陽だまりのような存在があって、それが誰なのかは未だに分からないがその人物だけには唯一心を許している気配がするのだ。絶対に守りたい、手放したくない、この前自分を置いて駆け出した彼には確かにそんな気持ちがあった。それにリナリーはほんの少しだけ羨ましいなと思ってしまったのだ。勝てない、分かってるの。どうやったってアレンくんの大切な存在には勝てない。でもこの四人で馬鹿みたいに笑いあってる時だけはわたしもアレンくんの特別でいたいなあ。ペダルを漕ぎながらこめかみに伝う汗を拭う、隣にラビが並んでいた。後ろを見ると神田とアレンはまだいがみ合っていてリナリーはなるほどなと納得する。
「夏祭りさ、リナリーとアレン二人で行く気ねえの?」
「ラビたちが来れないならそうするわ」
「ふーん。ま、頑張れよ」
含ませられたラビの言葉にじっとり汗ばむ、どういうことだろう。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時