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気付いた時には走り出していた。考えるより先に体が、足が勝手に動いていた。よく分からないけど嫌な予感がした。虫の知らせというか胸騒ぎというか、とにかく落ち着かなかった。折角リナリーと二人きりだったのに残念だなと項垂れながらアレンは微かに疼く左眼を押さえて走っていた。どこか遠くで半透明の彼女に呼ばれた気がして。
それなりに遅い時間にしてはまだ明るいからか暑さをものともしない元気な子供たちによって公園は活気付いていた。この時間になってもまだ明るいからという理由で遊んでいられるのは子供だけの特権だったなとアレンは幼い頃を思い出していた。暗くなる前に帰らないと義父に怒られるのは勿論怖かったが何よりも一人の真っ暗な帰り道が一番怖かったのだ。だから夏のこの時期は特別で、アレンは好きだった。生温い夏の風が優しくアレンの髪をかきあげる。それと同時に艶やかで綺麗なリナリーの黒髪も揺れていた。引き伸ばされたふたつの影を眺めながら話すのは他愛のないものばかりだった。
｢……はー、コムイさん怖いなあ｣
｢兄さんなら大丈夫だよ｣
｢そろそろ妹離れしようって思わないんですかね｣
｢ね、兄さんだってもう結婚を考えないといけないのに｣
いよいよだ、角を曲がれば彼女の家に着く。コムイの話をしながらふたりで笑い合っていると、帰りの遅い妹を心配してかはたまた悪い男が近付いていると兄のシスコンセンサーが反応してか(アレンは絶対に後者だと思った)タイミングよくコムイが現れた。｢リナリィィィーーー！｣とお決まりの叫び声の後に彼は珍しく沈黙する。いつもならペラペラと喋りやまないのだが。
｢……こんばんは、コムイさん｣
｢アレンくんが送ってくれたのよ｣
拳が飛んでくることを覚悟して恐る恐る顔を上げると案の定コムイはパニックを起こしていた。今回は時間差である。外の騒ぎを聞きつけたのか家からコムイと同じように白衣を纏った若い男が出てきた。リナリーによるとコムイの助手で仕事放棄して遊び呆けているコムイを度々シメにくるらしい。リーバーは暴れるコムイを羽交い締めにして｢悪いな邪魔して｣の言葉を残し退場した。折角のチャンスだけど、
｢ごめんリナリー、僕もう行かなきゃダメなんです｣
暗くて彼女の表情は読めない。ただ後ろは振り返らずに走り出した、立ち止まっていられなかった。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
