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期末試験が終わり、夏休みに入った。遂に一年生も学校祭準備に取り掛かることになる。夏休み前から準備を進めていた三年生は未だ忙しそうにしている。今年はアレンとラビが同じ赤軍で神田とリナリーが同じ青軍という色分けになった。噂でラビは応援団長をすると聞いたがそれは確実な情報だろう。あのお祭り好きな男ならやりかねない。
「他に聞きたいコトないかな?」
三年生の代役で一年生教室を訪れたリナリーは男子からも女子からも大人気だった。生来、屈託のない性格のリナリーはいつもくりくりとした目を輝かせて誰に対しても同じ態度で接する。愛想の良い笑顔に不快な思いをする人などいなかった。劇や作り物の指導にも率先して行動するリナリーをぼんやりと眺めながらアレンは女子に頼まれた作り物を手伝う。休憩時間になって教室が、がやがやと騒がしくなった頃リナリーはそっと人混みを抜け出してアレンの傍に来た。正直困惑と歓喜五分五分である。
「二年生は模擬店をするの、アレンくんもよかったら遊びに来てね。ラビは女の子に囲まれてるだろうし神田は学校祭が嫌いだから」
「勿論です。じゃあ僕たちの劇も見に来てください」
「ふふ、いいよ」
小首を傾げて笑うリナリーのツインテールがふわりと香る。ラビと神田の名前が出たのは解せないけれど、男子に人気なのは妬けるけれど、ひとつ小さな約束が出来た。約束で唐突に何かを思い出したアレンは気付いた時にはリナリーに向き直っていた。
「あの、」
・・・
エアコンと扇風機のある部屋は快適この上ないと言っていい。何か文句のつけようがあるならAの隣に朝からビールを飲んでいるろくでもない男がいることだ。アレンを見送りリビングに戻るや否や足の踏み場もないほどにビールの空き缶が転がっていたのには流石のAもドン引きである。
「クロスさんほんと勘弁してくださいよ〜」
「うるせー女は嫌われるぞ」
「誰のせいだと思ってるの!?」
夏休み一日目にしてこの有様、Aのハッピーサマーバケーションはどうなってしまうのか。転がっている空き缶を片付けながら楽しいはずの夏休みに思いを馳せて涙する。毎日この男と一緒に過ごすと思うと気が遠くなった。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時